日別アーカイブ: 2014年10月17日

第22回 ハセツネCUP その3

前回のつづき

月夜見山駐車場〜大ダワ(49.7km)眠りに落ちる

駐車場では補給のほかに着替えをした。

汗をかいたままのシャツでここまで来た。

夜は深い、これから朝方にかけてさらに冷え込むだろう。

ここでウェアを刷新することにした。

ファイントラックのタンクトップを新しいものに交換し、半袖のシャツからパタゴニアのキャプリーン4に。

1.5リットルの給水は、水500mlとポカリ1リットル。

スタート時3リットル積んだ水分は、ここまでで2.5リットル使っていた。

給水を終えると御前山へと出発だ。

もっとも標高の高い三頭山を過ぎたので、ここからは比較的楽なのかなと期待していたが、御前山への道は三頭山と同じように長く感じられた。

ただ傾斜のキツさといったものは、幾分楽だった。直前で休憩していたのも大きかったのかもしれない。

ただ下りは長く、キツかった。 

下りになると相変わらず呼吸が荒れる。

もうこれはゴールするまで治らないのだろう。腹をくくった。

下りきると公衆トイレのある「大ダワ」というポイントだ。

目標は何がなんでもゴールする。

そのためには程よい休憩が必要だ。

アスファルトに倒れこむ。

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何故か倒れ込んだときに撮った写真

アスファルトのひんやりとした感覚が気持ちいい。

あまりの気持ちよさに目を閉じた……少し休んでも残り20kmだ。ゴールには間に合う。

このまま深い眠りに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……着くかと思ったら、なぜか5分で目がさめた。なぜ?

5分という睡眠時間でも不思議なことに身体は随分リフレッシュできたようだ。身体が軽い。

空が青くなってきた。朝がやってきたのだ。

起き上がり、次のポイント大岳山を目指す。

大ダワ〜御岳山(58km)朝日を力に

大岳山は、山頂へ向かうにつれ岩場が多くなり、ストックをもって登るのが厄介になる。

そこからさらに上へ進むと、手で岩に掴まりながら登っていかなくてはならない。

ちょっとしたアドベンチャー要素のある山だ。

多くの……ほとんどの選手はここを暗いうちに進むのだから大変に違いない。

私はといえば、ここに辿り着くまでに美しい朝日がトレイルを照らし、空の色の移り変わりを楽しみながらゆっくりと進んできた。

明るくなると紅葉がすでにはじまっていることに気づく。

夜とは全く違う景色を見せてくれるのだ。これを味わえるのは遅い選手の特権かもしれない。

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大岳山山頂で補給。ゼリーを食べている人がいてうらやましかった。

山頂で休憩していると、スタッフのラジオから「ラジオ体操の歌」が流れてきた。

新しい朝が来た 希望の朝だ

希望の朝……にするためには、ゴールしなくてはならない。

水分の残量を気にしながら、最終CPの御岳山を目指す。

御岳山に向かう途中には水場があり、そこは使用することがルール上認められているのだ。

ハイドレの厄介なところは、取り出してみないと残量がわからないことだ。

フラスクに入れたお水は半分程度残っている。

山頂からしばらくは急な下りだったが、そのあとはわりとフラットな道が続き、走りと歩きを織り交ぜながら進むことができた。

川のせせらぎが聞こえてくる。橋を渡った先にある東屋、その少し先に水場がある。

水分補給をしたあと、顔を洗ってリフレッシュ。

御岳山というので再びピークに向かうのかと思っていたら、ゆるやかな林道の先にチェックポイントがあった。

あれ?ここがチェックポイントなんですか?と思わずスタッフに確認。

どうやら神社にやってきたらしい。

水場で一息ついたあと、あまりにさくっと到着してしまったので拍子抜けしてしまった。

ここは休まずに向かおうかなと思ったところで、プレートを見つけた。

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「ハセツネ」こと長谷川恒男氏の功績をたたえるプレートだ。

コース上にあるとは聞いていたが、チェックポイントにあるとはしらなかった。

せっかくなのでスタッフの方に記念撮影してもらって出発。

さぁ、最後の区間だ。

御岳山〜フィニッシュ(71.5km)雨のなかを走る

地図によると御岳山の次には日の出山という山がある。

そこまでの道はフラット基調な道を進んで、頂上手前が少しだけ傾斜がキツい程度。

わりとあっという間についてしまった。日の出山まで来れば、残りは10km。

金比羅尾根と呼ばれる下り基調の区間を抜けて、武蔵五日市へ帰るそうだ。

もう元気は残っていなかったが、残りわずかとなると感慨深いものがある。

大きなトラブルがない限り制限時間には間に合うだろう。

日の出山で最後の補給をする。

ハニースティンガー。ハチミツだ。

パッケージの口を開けてボーっとしていたら蜂が寄って来た。慌てて飲み込んだ。危ない危ない。

金比羅尾根は話を聞くと「意外と長いですよ」とのことだった。

そしてこの区間になってついに眠気が襲ってきた。

歩いたら完全に眠りに落ちてしまいそうで、呼吸の乱れがどうとかの心配を遠くへ追いやって走ることにした。

最後の最後、ようやく「トレイルランニング」をしている。

残り5kmを過ぎたところで雨が降ってきた。台風が近づいていることをすっかり忘れていた。

雨が加速の合図となる。

何人かを追い越して、急なコンクリートの道路を下りきるとついにアスファルトのロードに。

雨は本降りになっていた。でも、その雨が気持ちよくてフードをとった。

街にやってきてからゴールまでは数百メートルだったのではないか。

レースの余韻に浸ることもなくあっという間にゴール地点に到着。

ストックを持ったままゴール。

時計をみると21時間を経過していた。長かったなぁ。

達成感、そして悔しさ

何がなんでもゴールする!と思っていたハセツネ。

最低限の目標は達成したとはいえ、スタートギリギリの到着をはじめ反省すべき点はたくさんある。

ゴールしたぞ!という達成感とともに満足できていない自分もいて、途中で何度もリタイヤしようと思っていたのに「次こそは!」と思ってしまう。

私はロードと異なり、トレランに関してはゴールできれば万事オッケーという考え方だ。

だが、ハセツネは違う。どちらかといえばロードのような達成感も欲してしまうのだ。

なぜだろう。

来年挑戦できるかどうかわからないが、これで私のなかでハセツネが終わったとは思わない。

はじめてコースを一通り経験して、ようやく始まった、といったほうが適切かもしれない。

不思議な感覚、これがハセツネの魅力なのだろうか。

帰りの電車は2度乗り換えしたが、座った途端眠ってしまった。

乗り過ごすことなく帰宅できたことは褒めてあげたい。