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北丹沢12時間山岳耐久レース(キタタン)

20140706-

前回のつづき

いよいよキタタンの朝がやってきました。前日受付の雨から一転、レース当日の天候は晴れ。トレイルのぬかるみはあっても、雨よりは全然マシなレースになりそう。

渋滞と第2関門の制限時間が完走のキモ

ここで高低図をつかってコースを確認しておきましょう。

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この大会についてネットで参加者の声を拾い集めると

  • スタート直後の登りで渋滞する。開始からのダッシュがポイント
  • 第2関門の制限時間が厳しい、ただこれをクリアすれば完走は余裕

というのが多かった。 僕はスタートダッシュがとても苦手で、傾斜のある場所を全力で走るのは身体への負荷も高いので渋滞に関しては諦めることに。 ただし「12時間耐久レース」といっても、関門時間が設定されているのでそれをクリアしないと完走できません。 第2関門は29.4km地点、制限時間はスタートから6時間後……走ったことがないので関門時間の厳しさが想像できないけど、とりあえず13時が関門時間だということをアタマの片隅に入れておくことにしました。

スタートダッシュ

キタタンのスタートはウェーブスタートになっていて、前年完走者&早い人の白いゼッケンが先行。その30分後にその他ピンク色のゼッケンを付けたランナーが走ります。ですから白とピンクのゼッケンでは制限時間もそれぞれ30分ずれているので、自分の制限時間がどちらか事前に確認しておきましょう。 20140706--2

白ゼッケンが全速力で駆け上がって行く様を見送ると……いよいよピンクゼッケンのスタートです。 「スタートダッシュはしないぞ……」 「それだと大幅に遅れてしまうぞ……」 「関門に間に合わないかもしれないぞ……」 などと心が揺れ動くなかスタート! さぁ〜て長いですからまったり行きますか!という人はほぼ皆無。……速い、速い、めっちゃ速いのです、周りが。スタートからトレイルまでの2キロ程度の道はロードなのですが、ほとんどが険しい登り坂の区間。そこをゴリゴリ駆け上がって行きます。私は最初の数百メートルで完全に息があがってしまい、朝の涼しい気温が嘘のように汗が一気に流れ落ちます。 そしてドンドン追い抜かれて行くことがストレスにもなります。 「キツい、歩きたい……でも歩いたら関門に間に合わないかもしれない」 距離にすると2キロ程度なのですが、地獄のような区間でした。

 そして渋滞へ
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ロードの険しい登り坂がようやく終わると、待っているのはトレイルの渋滞。進みません。焦っても仕方ありません、動かない間に水分補給をし先ほどの疲労回復に努めます。こうしたトレイル区間の渋滞というのは、この大会では至るところでありました。 最初の登りと下りを終えるとロードに出ます。次の給水所「立石建設」(上の高低図参照)まで走ります。この区間は下り基調のロード7km。5kmくらいかなと思っていたので途中からは「おいおいあとどのくらい走ったら立石建設なんだよ」と不安になりながら走っていました。

水を被って進め
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立石建設にようやく到着すると、多くのランナーが係の人にアタマから水をかけてもらっていました。気温はそれほど上昇していないのですが、もう暑くてたまらないのです。例年よりも涼しく走りやすいキタタンと聞きましたが、暑いものは暑い。私もアタマに水をかけてもらいます。一瞬身体がブルっと震えるほどの爽快感で、一気にリフレッシュできました。以降の給水所では必ず水をかぶってすすむことに。 立石建設を過ぎると本格的な長い登りになります。

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この区間のピークまで4キロちょっとでおよそ800メートル、ひたすら登りつづけます。 渋滞とまではいきませんがこのように一列になって進んでいきます。登りの遅い私には程よいペースで体力的にも優しかったのですが、急いでいる人にはストレスになったに違いありません。ピークまで達するとスピードの出せる下りになるのですが……一列になっているためスピードが出せません。数人先の一人が遅いのはわかるのですが、そこに達するにはちょっと距離があるし、狭いトレイルで追い抜いて進むのも気が引けます。これが意外とストレスに。 そしてもう一つ、スピードが出せないのでこまめにブレーキをかけることになります。小走り、歩き、立ち止まり、また小走り……こういったことを急な傾斜でやっていることが徐々に足の負担につながっていったような気がするのです。

きゅうりがおいしい第1関門

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走っているのか歩いているのかよくわからないまま、第1関門(18.6km)に到着。 ここで給水(水のみ)を行い、フラスクにも補充します。 本当はささっと出発したかったのですが、お手洗いにもいきたい。ジェルも食べたい。まだまだ先は長いので補給はしっかりと。ここではバナナやキュウリもありますが、オススメはキュウリ。塩も聞いてて、熱中症対策や足がつりやすい人にもうってつけ。お手洗いもすませて万全の体制で出発。 結果としては10分近くエイドで過ごしてしまい、大幅なロス。時計をみると11時。制限時間30分前です。次の第2関門までは2時間しかありません。果たして間に合うのだろうか。なるほど第2関門の制限時間がキモというのはこういうことだったのか……。これは難しい区間になりそうだ。 先々のことを考えると急ぎたい気持ちはやまやまですが、このハードな登り。 DCIM100GOPRO

さすがこの登りを追い越しながらオラオラとあがっていく度胸、体力、筋力すべてが欠如しています。 はぁはぁ息を切らしながらゆっくり歩いて進むしかありません。

林道を走り続けろ

長い登りを過ぎると今度は長い林道になります。砂利道のような舗装されていない道路が殆どで、下り基調なのですが本当に退屈。走っていて一番楽しくないのがこの林道。しかもこの林道が8km近くあるんです。気になるのは時間……。私は地図を取り出して確認するのが億劫だったので「5km程度の林道だろう」と思って走っていました。5kmなら走り続けることができる。ところがいつまで経っても関門が見えない。時計を見る、関門時間の13時はゆっくりだけど確実に近づいている。つらい、少し歩きたい、でも歩いたら間に合わないんじゃないか、地図を見たい、でも取り出す時間がもったいない……ええい!走るしかないのか! 制限時間に追いかけられるこの8kmがある意味、一番しんどい区間でした。

関門はエイドの向こうにある

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トンネルを抜けてようやくエイドが見えてきました。上の写真の左にも欠けていますが「関門」の文字が。 ふ〜、間に合った。12時40分くらいの到着です。水を被るか、それともトイレにいくか。とりあえず給水からにしよう……と思っていたときスタッフのおばちゃんの声が聞こえてきました。 「関門はこの先です」 えっ、関門はここじゃないの?確かにICチップでチェックする青いシートがない。時計を見る。トイレの待機列の長さを確認して、トイレを最優先に並ぶことに。これ要注意です。関門のあとにはトイレありませんでした。また第 2関門以降もトイレが見つけられませんでした。最後まで走り抜けたい人は関門の制限時間+トイレに並ぶ時間まで考えた方がいいと思います。ちなみに2014年の大会でここに設置された仮設トイレは2つのみ(男女共通)

休憩は第2関門のあとで

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結局お手洗いのあとに水分補給などを済ませ、50m先の第2関門(29.4km)を通過したのは関門時間10分ちょっと前。 関門をくぐるとすぐに私設エイドの方がいて、ジュースをいただいてきました。ギリギリのランナーには本当にありがたいエイドです。そして多くのランナーがアスファルトに座り込んでいます。

「第2関門の制限時間をクリアできれば完走できる」 といわれています。

というのも、第2関門の制限時間が13時(ピンクゼッケン)でゴールの制限時間が19時。距離にして13km程度を6時間でゴールすればいい。大きな怪我やトラブルがなければゴールはみえてきます。 「よし、これで完走が見えてきたぞ」 タイム云々ではなく、完走が目標の私はようやく気持ちを落ち着かせることができました。もう制限時間に追いかけられる心配はない。前だけを見て進めばいいのです。アスファルトにしゃがみこみ、ザックを外して身体をゆったりさせます。そしてその間にジェルを食べて、このコースの最難所へ向かうための準備をします。

終わりなき登り、姫次への道

いよいよここからがコースでもっとも険しい登り、ピークの姫次まで6km弱で800メートル登ります。 事前情報でこの姫次までの道が一番険しいときいていました。出発する前に高低図を改めて確認。

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まず1077mまで急傾斜で登ったあとにすこし傾斜がゆるやかになっている。登りが2段階に分かれているんだなという認識で臨みました。序盤の1077メートルまでの登りは本当に傾斜が急です。私はゆっくり歩けば立ち止まることなく、一気に上まで登りきることができました。

この高低図だと、しばらく平かな道が続いて2つ目の険しい傾斜を迎えるように見えるのですが……実は登りの前に結構下りがあります。
おまけに渋滞まであります。一カ所、ロープをつたっていく場所があって、そこだけは渋滞していました。
それもけっこう長い……20分くらい待ったのではないでしょうか。タイム関係なく完走だけを目標にしていた私としては、かっこうの体力回復ポイントでこれまでの登りの疲労をとったり、水分をとったりして助かりました。

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何度もある偽ピーク

また、並んでいる間に前後の方と雑談をして時間を潰していたのですが、どうもこの先何度も「偽ピーク」があるというのです。
「ここを登りきると姫次かな」と思うとまだ続きがある、知らないと結構心が折れるというのです。私はGPSウォッチを持っていない完全感覚ランナーなのでこの情報は本当にありがたかったです。

そしてもう一つ、山の斜面が崩れている傍を登る道があるというのです。それを登ると姫次まであと少しなんだとか。

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これがその山の斜面が崩れている箇所。登っていればすぐにわかると思います。この情報のおかげで「ああ、このことを言っていたのか」というのもわかって本当に楽でした。この山を登りきると姫次まで700メートルという標識があるはずです。

そしてようやく姫次に到着。

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長かった〜。第2関門から2時間以上かかったんじゃないでしょうか。渋滞以外一度も足を止めることなく進むことができたのはかなりの自信になりました。ここでは神奈川大学の山岳部さんが運んで来てくれたお水を一杯いただけます。私も一旦腰を下ろして、ここまで運び込んできた缶コーラを飲みます。
うめぇ、命の水だよ、コカコーラ。いつからコーラはスポーツドリンクになったのでしょう。

飛ばせ飛ばせ超楽しい下り坂

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ここからはゴールまで殆ど下り。これまで渋滞気味で下りでも思うように走れませんでしたが、出発すると前も後ろも人がいない。一人きりの空間、気持ちいい。ゆっくり走りはじめて、斜面に身を任せて加速、加速、一気に加速。段々人がみえてくる。声をかけて横パスする。

これまでストレスの多かった下りでようやく楽しい走りをすることができます。相当疲れもたまっているはずなのですが、ここでは足が動くのです。着地の判断も間違えなく、転ぶことも無く、一気に行きます。

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下りきると、行きでは登ったロードに出てきます。ゴールまであと少し。

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ここで最後の給水をとることができます。
残り1.5kmくらいだと思います。

ここまでのトレイルの下りで足を完全に使い切ってしまって、ロードになった途端走ることができません。途中から太ももの前の筋肉が痛んでいました。ああ、もう終わったかなといったところです。ここからゴールまでは慎重に歩いていくことに、制限時間で引っかかることはありません。

しかし、トンネルを抜けて少し歩くと行きのルートとは異なるトレイルを進むことに。しかも下り。
これは走るしかないでしょう、最後の下り坂ですよ。ロードでの歩行が嘘のようにピョンピョンと下っていくとあっという間にスタート地点に。ここがゴールなのかと思ったら、ゲートをくぐった先がゴールになっていたのにはちょっと驚きましたが……ようやくゴール。9時間30分手前のゴールとなりました。

第2関門まではひどいコースだなと思っていたのですが、最後の下りが楽しくてそんな不満も吹き飛んでしまいました。
例年猛暑で大変だと聞きましたが、今年は高いところは肌寒く感じられるところもあったくらいで、気候にも恵まれました。真夏日だったらゾッとします。

来年もし出られるとしたら「白ゼッケン」で走ることができると思うので、今年とはまた違ったレースが楽しめそうな気がします。筋肉痛が5日も続いてビックリしましたが、いや〜楽しかった。