月別アーカイブ: 2015年7月

OSJおんたけウルトラトレイル100K

150719-01林道を下って到着した50km地点。中間地点だ。
今年はロードでチャレンジ富士五湖野辺山ウルトラマラソンを2本走っている。3月の大江戸ナイトランも含めると今回で100kmクラスは今年4度目。疲労はあるけど、深刻ではない。あっさり到着した。

ただ、いつもと違って体調の不具合が一つ、僕を悩ませていた。

真夜中のスタート、辿り着かない関門

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おんたけウルトラトレイル(100kmの部)のスタートは24時。ヘッドライトやハンドライトで足元を照らしながら真っ暗な林道を駆け上がっていく。台風の影響で雨が続き、ぬかるんだトレイルや水たまりを警戒しながら前へ進む。スタート時は雨が降っていなかったが、ほどなく雨模様に。

高低図を見ると登りが長くつづく区間だが、思いのほか走れてしまう。これはいいのか悪いのかわからなかったが、もうすこしするとこれは正解だったのだと気づく。

スタート前のコース説明で、第1関門が32kmから35kmに変更になったと説明があった。ところがこの第1関門が一向に見えない。たどり着く気配もない。長い登りで隠すことのできなくなった疲労で焦りが倍増される。一体どうなっているんだろうか。

結局第1関門(兼エイド)は38km地点にあった。時計を見ると制限時間の40分前。お手洗いに並び、補給をして出発する。おにぎりを食べたりして長居をしてしまったみたいだ。気がつくと関門時間は20分前。スタート前から時間の厳しい区間だと思っていた。この3kmの延長で間に合わない人がけっこう出てくるんじゃないか、そんな予感がした。前半少しプッシュしておいてよかった。

走りたくても走れない下り坂

ホッと一息つきたいところだが、雨が強くて余裕はない。厳しいレースになりそうな予感しかない。ここからは走れる区間が続くので第一関門で時間がかかった人は走って挽回できるとスタート前に説明があった。

ところがここで体が異変を告げる。お腹が……痛いのだ。具体的いうとお腹を下してしまった。お手洗いまでは10km先……。少しでもお腹から意識を離してしまうと、お腹が決壊してしまいそうだ。ランニングどころではない。だが下り坂はいつものようにリラックスして走ると、お腹が下ってしまいそうだ。お腹最優先で慎重に恐る恐る、ゆっくり下っていく。トイレに辿りつかなくては……。
気がつくと雨はあがり、夏の日差しになっていた。

こうしてたどり着いたのが50km地点。50kmすぎには小エイド(水のみ支給される)とお手洗いがある。ここが今の僕にとってはひとまずゴールだ。OSJのエイドは貧相で期待できないと事前に聞いていたが、トイレも過酷だ。仮設トイレは1台。当然並ばなければならない。これもまた苦しい。タイムロスは痛かったが、「危機」は乗り切ることができた。第2関門までは4時間ある。距離は13km。大丈夫だ。いけるぞ。

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フラットな区間が続く

天候激変、第2の危機到来

お腹の危機を乗り越えたことで薄暗かった先行きに一筋の光が差しこんだ。だが、それも長く続かなかった。第2関門に向かう林道で再び天候が悪化。しばらくはシャワーラン程度の心地よさで、暑いよりはずっといいなと思っていた。
第2関門は 63kmという案内だったが、63kmを通過しても関門の気配すらない。これもまだまだ先にあるのだろう。苛立ちは募り、雨は強くなっていく。レインを羽織る人も増えているが、関門まではいいかなとそのまま進む。

「おい関門いい加減にしやがれ!」と苛立ちが頂点に達しようとする頃ようやく第2関門に到着。少し先にはエイドもある。これが68km地点だろうか。ここではドロップバッグが受け取り、すぐさまコーラを飲む。うまい!一気に生き返る。ここに来て雨が本降りというよりは豪雨っぽくなってきた。濡れたTシャツを脱いで、預けていた新しいTシャツに着替え、ザックの中に入れていたレインを羽織る。
よし!準備完了!といったところで気がついた。
体が……震えてきた。雨のなか濡れた服で立ち止まっていた時間が長かったのがよくなかったのか、ブルブルしてきたのだ。「これは危ないやつかもしれない」そんな気がした。低体温症になるのかもしれない。
出発前のトイレに並んでいるとき、目を閉じるとそのまま寝落ちしてしまいそうにもなった。恐怖心が増幅していく。幸いここから持ち直したのは仮設トイレのなかが比較的暖かく、そこで体や意識をうまく切り替えられることができた。リタイヤのテントのほうに目をやるとたくさんの人がリタイアをしているようだ。僕と同じように寒さが原因という人が多いのではないだろうか。
「よし!出発!」というところで、レインパンツに着替えている人を見て、僕も真似てレインパンツも履いてきた。Tシャツの替えは用意していたが、パンツは用意していなかった。だがレインパンツならザックにある。これなら持ちこたえてくれるのではないだろうか。完全にハイカースタイルになったが、仕方ない。これが今の実力なのだ。体は絶対に冷やさない、多少暑くてもそっちのほうがマシだ。
「こうなったら絶対にゴールだけはしてやる!」と心に誓い、力強く歩く。次のエイドまでは15kmあるんだとか。

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お腹は再び下る

そんな自分の力強いハートに釘を差したのが、再びやってきた腹痛だ。ガシガシと追い越しながら進んでいたのに、下りを恐る恐る走るものだから追い越されてしまう。次のエイドまで10kmあるのか、持ちこたえてくれよ〜と祈りながら慎重に進む。本当なら下り坂が多いので軽快に進めるパートなのに残念で仕方ない。やれやれと思いながら、たくさんの人に抜かされる。

復活のそうめん

2度目の腹痛を乗り越え、最後の関門に到着。今回のおんたけでお腹との向き合い方がうまくなったのは果たしていい収穫なのか。これまでは「水」を中心に味気ない出し物しかなかったエイドだったが、ここでは唯一「そうめん」が支給される。お手洗いを済ませ、完全復活。その後のそうめんがうまかった。「復活」ということばがこんなにマッチしたそうめんがこれまであっただろうか。
2杯いただき、いよいよゴールに向かう最後の区間に。

これまで「いくぞ!」と意気込んだ区間を2度の腹痛で足止めされてしまったが、最終区間にしてやっと「走る」というモードに。登りはガシガシ登って、下りは走り抜く。けっこう人も追い越すことができた。もっと早くこういう走りができていればずっと楽だったのに、スタート前のトイレマネジメントをもう少しシビアにやっておくべきだったなと反省。
トレイルの区間は走りきって、最後の水エイドに到着。ここで給水とこれまで走ってきた疲れをとって、最後のロードはまったり歩いて進む。関門にひっかかることはまずない。前も後ろも人がいない。静かな時間だ。

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100kmの部なのに「100km地点」を通過するミステリー

ゴールの運動公園手前の長い坂を登りきったあとはゴールまで走った。レインパンツは途中で脱いだけど、体をひやすことが強かったので雨はあがってもレインは最後まで着たままゴール。17時間以上もかかってしまった。
トイレの一つひとつが悔やまれたり、諦めずにやりきったことがよかったのではないかと達成感があったり、複雑なゴールとなった。

今回はレース中に起こる予期せぬ事態への対処が遅かったことが結果として体調の悪化につながってしまった。「ダメかもしれない」と思ったら悩まずにウエアを羽織る。悩む、逡巡するといったことがあとあと大きなダメージとなってかえってくる。リスクマネジメントというか、その鈍さを見直さないといけない、と強く感じた100kmだった。去年のハセツネでも着替えにまごついて時間を大幅にロスしていることを思い出した。こういうレース展開になると、経験の浅さが露呈してしまう。

林道が延々と続いて単調、修行のような大会と聞いていたけど、個人的には上で述べたようなトラブルへの対処を繰り返しているうちにあっという間にゴールしてしまった感じ。変化に富んだトラブルで違った意味で飽きが来なかった。

次走るときは走力抜きに上で述べた部分を改善するだけでグーンと成績がアップしそう。そう、自分の伸びしろをめっちゃ感じた100kmでもあった。

スパトレイル 四万to草津

昨年に続き、今年もスパトレイルに参加。
80kmだった距離が72kmになったので、これはだいぶ余裕が出るなと思ったのだが、蓋を開けてみるととんでもない、去年よりもヘヴィーな温泉旅となった。

コースは4割程度変更

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2回目のブリーフィングでプロデューサーの鏑木さんから昨年と比べてコースが4割程度変更になったという説明が。主に後半が中心。

そして56〜57kmには階段700段の区間が用意されているという。これは「走れる北米スタイル」の大会に加えたアクセント程度のもの。鏑木さんと共にプロデュースしている松本大さんが取り組むスカイランニングの種目バーチカルらしさを取り入れているんだとか。
高低図にはその階段ゾーンの登り具合がはっきり出ていないのが気がかり。とりあえず「56km要注意」と頭に叩きこんでブリーフィング終了。

温泉は何度も入るべし

ブリーフィングが終わると、バスでスタートのある四万温泉へ。
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ここで1泊することになる。
翌朝のスタートが5時と早いため、夕方に到着しても以外とゆっくりできる時間は少ない。
オススメは前日早めの時間に受付して、できるだけ早く四万温泉の宿に到着し、温泉に何度も入ること。宿によっては温泉の種類が豊富だったり、時間帯によって男女の入浴時間をわけたりしている温泉もある。私のとまった宿は2種類の露天風呂の入浴時間を男女ごとにわけていた。
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限られた時間でとことん楽しみたいのならば、宿は早めに。温泉にじっくりといったところだろうか。
当日は2時過ぎに置き、3時にはスタート地点に向かった。
大会の2時間前の到着は少々早いのだが、いつも2時間前には到着しているので、いつものリズムで臨むことに。

走れるからこそ走らない

「走れる大会」が売りとなっているスパトレイル。 昨年の失敗はその大会の特徴にあった。前半の林道の登り、そして下り基調のトレイルが楽しくてかなり走ってしまったのだ。 その結果、野反湖まで続く5キロの登りで疲労はピークに。意識が朦朧としたまま野反湖を半周し、エイドに到着した記憶がある。
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昨年一番失敗したのがこれ。
だから今年は決めた「走らないぞ」と。
走る目安を心拍数で判断した。160を超えたら歩く。152、3になったら小走りをする。走ろうと思えば走れるが敢えて歩く。 これが正解かはわからないが、歩いた時間が長いだけ10キロ過ぎの給水ポイントについても体全体に余裕が感じられた。 舞い上がっている感じもない。 最初のエイドまでの道は一部コース変更されていて、林道がメイン。 下り坂は走るが登り坂では歩く。
150628-01気がつくと20キロを通過。ここまでは5月に走った野辺山ウルトラマラソンのようなコースだ。トレラン……ではないな。

第1エイドを過ぎるといよいよトレイルに。 川を渡ってシングルトラックを抜けると、野反湖への登りへ。
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昨年はひたすら登り続けてフラフラになった記憶ばかりだったが、今年はかなり余裕がある。自分の記憶よりもフラットで走れる部分があった。もちろん登りは長かったが、ここまでの距離が去年より短いこともあってか、とても楽に野反湖へ到着することができた。 野反湖畔を半周する心地よいコース。 レンゲツツジの鮮やかなオレンジがとてもきれい。
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みとれながら走ったり歩いたりしていると、遠くからショートコースの開会式の声が聞こえる。 その声をラジオのように聞きながらエイドへ。 ショートのスタート地点でもある第2エイドへ到着するとちょうどスタートが一服したところだった。
150628-01-4ここが35km地点だからだいたい半分。コースの難所は越えたかなと思っていた。
そこまで疲れていなかったので、座ることなく舞茸のうどんを食べてさっと後半戦へ。

後半戦は未知の大会へ

150628-01-5野反湖を一周し、最高地点の弁天山頂上。そしてそこからがこの大会で一番気持ちのいい下り基調のトレイルが続く。去年は途中から林道になり「なんだかなぁ」という気分になったが、今年は気持ちのいいトレイルで一気にエイドまで下りていく。

気持ちのいいシングルトラック

気持ちのいいシングルトラック

足湯のある第3エイドまでは去年と同じ。ここからゴールの草津温泉までのルートは未知のルートとなる。集落を抜けて進んで行くとかそんな説明を聞いた気がする。

これまでトントン拍子でやってきて、こんな勢いでゴールまで行っちゃっていいのかな?想像以上に早く到着しちゃうんじゃないの?なんて余裕が生まれてきたのもこの頃で、この甘い幻想は間もなくぶち壊されることになる。

150628-01-8天候は雨が予想されていたが、なんとか持ちこたえてくれただけでなく、第3エイドを過ぎてからは晴れ間も見えて日差しの強さが感じられるようになってきた。登り基調で日陰がない。これはなかなか堪える。

ロードの登り坂については走っている人が多かったが、気がつくと体力的な理由で走ることができなくなっていた。仕方ない、これからは淡々と歩くのみだ。そして「だいぶしんどくなってきたなぁ」と思ってきた頃に、56km地点の階段にたどり着くのだった。

メインディッシュは階段ゾーン

階段は滝の脇を登っていく道で、入り口に丁寧に「階段70⚫︎段」とかいてある。オフィスビルの階段なら慣れているが、この階段がなかなかの急登。

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階段っていうか、ハシゴみたいな階段がところどころにあって、これは手を離したらアウトっぽいなと慎重に進む。ところどころで足を休めている人たちも。階段はかなり苦手だが、休まずゆっくりでもいいからとにかく上へ上へと進むことに。段数は本当に700段あったのかわからないが、気がつくと滝の音は聞こえなくなっていた。

滝が終われば第4エイドまではもうすぐ。ロードをとぼとぼ歩いていると、地元のおばちゃんから「階段どうだった?」と声をかけられた。「いや〜、死ぬかと思ったよ」と返すと「あんた、みんなあれじゃ死なないわよ」と笑われてしまった。

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階段を終えた場所にある第4エイド。おばちゃんたちが元気いっぱいだ

この11.5kmの区間がスパトレイルで一番苦しい区間だった。これまでエイドで座ることはなかったが、ここではじめて座り込んでしまった。

走れる終盤のコースで、走りたくても走れない

ここまで58km。次のエイドまでは6km弱しなかない。楽勝楽勝〜と思っていたが、もう走る力はなくなっていて、登りも下りも歩き中心。正直階段を過ぎてからの記憶は曖昧で、この最終エイドまでの区間になにがあったのか覚えていない。ボーっとしたまま進んでいたのだろう。

150628-01-11気がつくと最後のエイドに到着していた。ここではお蕎麦をいただく。
残り8km。走る気力はないが制限時間内にはゴールできそうだ。12時間を切ることは……できるかな。ギリギリかな。

ロードと林道が中心の終盤、走れる力があればとても心地いい区間なんだろう。自分はといえば走りたい、でも走れない。ここで走ったらどこかで息切れしそうだ。早歩きで、同じように歩いている人たちを抜いていく。

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70km地点まで来た。あと2km。時計を見る。ひょっとしたら12時間を切れるかもしれない。走っては歩き、走っては歩きを繰り返す。

どれだけ進んだのだろう。僕の手元のGPSでは、距離の誤差はあるもののもうすぐ72kmに到達しそうだ。ところがゴールが見えない。人のいるような声や騒ぎも聞こえない。駆け上がる人に声を掛ける。
「あとどのくらいですか?」
「今71.7kmだからあと1kmくらいですね」
あと……1kmだと……。実は第3エイドでジェルのゴミと一緒に誤って高低図の切り取りも一緒に捨てるミスをしてしまったのだ。なのでそこから先はコース展望については何もわからないまま進んでいた。距離も72kmだと思っていたが、実際は700mプラスなのか。

これでは12時間切りはムリだ。しばらくすると、遠くから17時を告げるメロディーが聞こえた。12時間経過。終戦。

ゴールは12時間1ケタ分。終盤で突発的に掲げた目標の達成はできなかったが、エイドの休憩時間はどこも短めで終えることができたし、昨年の失敗を踏まえて前半のペース配分を組み直すこともできた。
やれたこと、やれなかったこと、それぞれあって達成感や改善点が見えた充実感溢れた72.7kmだった。

距離は短くなったけど、コースの難易度はあがったと思う。ロードの区間が確かに多いかもしれないが、階段も含めて盛りだくさんな内容で存分に楽しませてもらった。この大会のために準備を重ねてきた大会関係者の方々には感謝の気持ちしかない。

ゴールの草津温泉で体をしっかり休ませることができればよかったのだが、帰りの電車などを考えるとそんな時間もなく、ゆっくり着替えをして電車で横浜へ帰った。

去年は手配していた東京行きのシャトルバスに間に合わず、草津温泉で一泊するというトラブル?があったが、今回の距離、制限時間であれば東京までのシャトルバスのほうが助かる。疲れた体でバス2本乗りついで駅へ行き、そこから乗り継ぎを重ねて帰るのはとてもしんどいからだ。行きはともかく、帰りはバスの復活を願う。