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東京マラソン 2015 (激走編)

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作戦はない。ただ走り続けるだけ

スタートブロックに到着するとあっという間に開会式がはじまり車椅子の部がスタート。その後、国内外のゲストランナーが紹介され、いよいよマラソンのスタートとなる。僕のいたCブロックはスタート前にはスタートのある都庁第1庁舎と第2庁舎の中間くらいの位置になっていた。

スタート前になると、それまで来ていたビニールのポンチョや合羽を脱いで道路に投げ捨てていく。いつからかそれが当たり前にようになっている。少し前にいた外国人は厚手のパーカーを脱いで、放り投げていた。ワイルドすぎる。けっこう綺麗なパーカーだったぞもったいない……。

周りを見渡すと外国人が多い。去年は台湾の方が特に多いなという印象だったが、今回は様々な国々の方が全般的に増えている、という印象。3万6000人のうち、およそ5000人が外国人ランナーなんだとか。これも東京マラソンが醸し出す非日常の一つだ。

42kmを駆け抜けるにあたって、みなさん様々なプランを立てていることだろう。私も本当は序盤から中盤は抑え気味で入って、後半に差し掛かったあたりからペースをグイグイ上げていく走りをやってみたい。ネガティブスプリットとかいうあれだ。
ところがまともにトレーニングをしていないため、一度ペースを落とすと後半にあげる力があるとは思えない。落ちたペースのままゴールしてしまいそうなのだ。本来はトレーニングからそういうことをやっておかないといけないのだ。

となると、いつものことながら何も考えずに走るしかない。
昨年11月のつくばマラソンは35km、1月の勝田は28kmで力尽きた。さて、東京はどこまで持ち堪えることができるだろうか。自分のペースでどこまで粘れるか、それがG僕のマラソンとの向き合い方になっている。昔のように42km維持することができればいいのだが……。

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紙吹雪が舞うなかスタート。トップ選手から1分半ほどで走り出すことができた。

淡々と走り続ける序盤

多くの人が叫び声をあげる異様なテンションのなかレースがはじまる。外国人が多いからなのだろうか。負けじと私も声を上げる。スタート直後に心拍数を見たらゆっくり走っていたのに190もあって大変驚いた。

走り始めてすぐにトイレに行きたくなった。ただスタートからしばらくはトイレが混雑している。できるだけ時間をロスしないトイレはないかなと思いながら淡々と走る。すると5km地点手前のトイレが二人しか並んでいなかった。これはラッキーだった。1分半ほどのロスで済ますことができた。これ以降もコースのトイレを見てみるとCブロックからのスタートだと、5kmすぎるとあまり並んでいることはなかった。他の大会と比べてトイレのポイントが多いというのもあると思うが。ただ、去年は最終ブロックからだったのでどのトイレもかなり列が伸びていた。後方スタートで関門時間を気にしている人はトイレでロスする時間も注意したほうがいい。

トイレのロスがあったからなのかはわからないが、5km過ぎから少しペースがあがった。キロ5分を切り始める。といっても、普段のペースに乗っかってきたといってもいいので、意識してペースを落とすということはなく、このリズムをある程度刻んでいければいいのかなと思うようにする。あっという間に10kmの日比谷公園を抜けて、東京タワー、15km過ぎの品川駅前で折り返し。再び田町、増上寺、日比谷公園に戻ってきて有楽町方面に足を運び、山手線の線路をくぐる手前で中間地点に到着だ。

我慢、忍耐の中盤

実は15km過ぎからいつものジョギングよりも身体がフワフワしている気がしていた。なんというか力が入らないような。いやぁな気がしていたのだ。意識しすぎると悪い方にいってしまいそうで意識の隅っこに押しやって、前だけを見て走ることに集中した。半分過ぎたところで一つ目のジェルを食べる。

東京マラソンの区間で苦手なのが、日本橋〜浅草〜日本橋の区間。浅草の雷門まで行けばスカイツリーも見えて楽しいのだが、そこまでの道がとにかく単調で、楽しくないのだ。コースも平坦なので淡々と走っていくしかない。ただ、日本橋に差し掛かった23kmあたりから「けっこうきつい」感じになっていた。ペースはキロ5分を切ることはできていたが、果たしてどこまで持ち堪えることができるか、なんてことを考え始めていた。

浅草橋から雷門までが長く感じる。雷門の賑やかなエリアを通り過ぎて、今度は浅草橋から茅場町までの区間が長く感じる。気持ちが少しずつ弱気になっていく。浅草橋を抜けて30km地点に到着。なんとかキロ5kmペースを維持できているが……。自分に限界が来ていることはよくわかっていた。

茅場町に到着した32km地点の給水ポイント、ここで足がなくなったことを確信した。給水後の走り出しに勢いがない。残り10km、ここまでだったか。先月の勝田と比べればなかなか持ちこたえたじゃないか、と少し自分を讃える。

足がなくなったここからがマラソンだ。

力尽きた終盤からがマラソン

3時間半を切れたら……という淡い期待はここで打ち砕かれてしまった。ここから現実的な目標を探す。3年前の東京は3時間42分。この記録を更新するのは最低限の目標になった。銀座和光の交差点を曲がって今度は東銀座、築地本願寺を目指す。35km地点が遠い。

35kmすぎの給水ポイントで3度目のジェルを食べる。走り出したところですぐにコース最大の難所佃大橋があることを思い出す。トップスピードを走りながら飲む。

東京マラソンの終盤はベイエリアに差し掛かるため橋が増える。そのためここからは起伏のあるコースへと様変わりするので、はじめて走る人は面食らうかもしれない。

「ゴールしてからいくらでも歩くことはできます」
佃大橋の登り坂でボランティアの方が声をかけてくる。「そのとおりだ」というランナーの声が聞こえてきて少しだけ笑ってしまった。スピードはでないけど、登り坂が増えることで単調なコースにようやく変化がでてきたのは楽しい。

佃大橋を渡ると、豊洲、東雲、そしてビックサイトのある有明に差し掛かる。有明の手前で40kmのチェックポイントを通過。そして最後の給水ポイントがやってきた。ふらふらになって給水の前で立ち止まり、ポカリを手に持ちながら給水所の区間を淡々と歩く。その間にゆっくり飲みながら、時計を見る。

あと2km。足をつったりしなければ3時間42分の記録は更新できそうだ。つくばの3時間33分は現実的じゃない。ただ3時間40分は切れそうだな。そこが今回の着地点になりそうだな、なんてことを考えながら走り出す。正直力尽きてからは上で掲げていた現実的な目標も思わぬトラブルがおきたら、達成が危うくなると思っていた。それがすごく怖かった。やっと「大丈夫だ」と思えたのが40km。

ビックサイトへ向かう橋の上が41km地点。時計を見ると3時間30分5秒。うまくいけばこのくらいにはゴールできていたのだろうか、いや今の自分の実力だったらないな、なんて思いながらビックサイトへ。

ゴールのある東館の駐車場に入ると42km地点のゲートが見えてくる。私が東京マラソンで一番好きなのがこのピンク色のゲートだ。これをくぐればあとは192m一直線に走るだけだ。タイムは3時間26分台だった。

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タイム的にはたいしたタイムではない。自己ベストでも、今期のベストでもない。想定内におさまった記録だと思う。でも、なんだろう「よくやったな」って思えるのはゴールしたあとのボランティアの方々が、必要以上にゴールを喜んでくれるんだよね。これは東京マラソンならではだと思う。タオルをかけてもらって、メダル、ポカリ、カロリーメイト、バナナ、みかん……様々なものを受け取る間にたくさん声をかけてくれる。ハイタッチを交わす。あの声がけがあるのとないのでマラソン走り終わったあとの印象がガラっと変わるんじゃないか。あのボランティアの方々に救われている人は私以外にもいると思う。これが東京マラソンの良さなんじゃないかな、などと思ったり。

4度目の東京マラソン、すごくきつかったし、苦しかったけど、すごく楽しんじゃったなって思えたのが、このゴール後に荷物受け取りまで歩く一本道だった。

2年連続で楽しんでしまった東京マラソン。来年はさすがに当選しないかな。でもこの楽しさがやっぱり特別だからまたエントリーしちゃうんだろうな。

参加した皆様、ボランティアスタッフの皆様、おつかれさまでした。