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OSJおんたけウルトラトレイル100K

150719-01林道を下って到着した50km地点。中間地点だ。
今年はロードでチャレンジ富士五湖野辺山ウルトラマラソンを2本走っている。3月の大江戸ナイトランも含めると今回で100kmクラスは今年4度目。疲労はあるけど、深刻ではない。あっさり到着した。

ただ、いつもと違って体調の不具合が一つ、僕を悩ませていた。

真夜中のスタート、辿り着かない関門

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おんたけウルトラトレイル(100kmの部)のスタートは24時。ヘッドライトやハンドライトで足元を照らしながら真っ暗な林道を駆け上がっていく。台風の影響で雨が続き、ぬかるんだトレイルや水たまりを警戒しながら前へ進む。スタート時は雨が降っていなかったが、ほどなく雨模様に。

高低図を見ると登りが長くつづく区間だが、思いのほか走れてしまう。これはいいのか悪いのかわからなかったが、もうすこしするとこれは正解だったのだと気づく。

スタート前のコース説明で、第1関門が32kmから35kmに変更になったと説明があった。ところがこの第1関門が一向に見えない。たどり着く気配もない。長い登りで隠すことのできなくなった疲労で焦りが倍増される。一体どうなっているんだろうか。

結局第1関門(兼エイド)は38km地点にあった。時計を見ると制限時間の40分前。お手洗いに並び、補給をして出発する。おにぎりを食べたりして長居をしてしまったみたいだ。気がつくと関門時間は20分前。スタート前から時間の厳しい区間だと思っていた。この3kmの延長で間に合わない人がけっこう出てくるんじゃないか、そんな予感がした。前半少しプッシュしておいてよかった。

走りたくても走れない下り坂

ホッと一息つきたいところだが、雨が強くて余裕はない。厳しいレースになりそうな予感しかない。ここからは走れる区間が続くので第一関門で時間がかかった人は走って挽回できるとスタート前に説明があった。

ところがここで体が異変を告げる。お腹が……痛いのだ。具体的いうとお腹を下してしまった。お手洗いまでは10km先……。少しでもお腹から意識を離してしまうと、お腹が決壊してしまいそうだ。ランニングどころではない。だが下り坂はいつものようにリラックスして走ると、お腹が下ってしまいそうだ。お腹最優先で慎重に恐る恐る、ゆっくり下っていく。トイレに辿りつかなくては……。
気がつくと雨はあがり、夏の日差しになっていた。

こうしてたどり着いたのが50km地点。50kmすぎには小エイド(水のみ支給される)とお手洗いがある。ここが今の僕にとってはひとまずゴールだ。OSJのエイドは貧相で期待できないと事前に聞いていたが、トイレも過酷だ。仮設トイレは1台。当然並ばなければならない。これもまた苦しい。タイムロスは痛かったが、「危機」は乗り切ることができた。第2関門までは4時間ある。距離は13km。大丈夫だ。いけるぞ。

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フラットな区間が続く

天候激変、第2の危機到来

お腹の危機を乗り越えたことで薄暗かった先行きに一筋の光が差しこんだ。だが、それも長く続かなかった。第2関門に向かう林道で再び天候が悪化。しばらくはシャワーラン程度の心地よさで、暑いよりはずっといいなと思っていた。
第2関門は 63kmという案内だったが、63kmを通過しても関門の気配すらない。これもまだまだ先にあるのだろう。苛立ちは募り、雨は強くなっていく。レインを羽織る人も増えているが、関門まではいいかなとそのまま進む。

「おい関門いい加減にしやがれ!」と苛立ちが頂点に達しようとする頃ようやく第2関門に到着。少し先にはエイドもある。これが68km地点だろうか。ここではドロップバッグが受け取り、すぐさまコーラを飲む。うまい!一気に生き返る。ここに来て雨が本降りというよりは豪雨っぽくなってきた。濡れたTシャツを脱いで、預けていた新しいTシャツに着替え、ザックの中に入れていたレインを羽織る。
よし!準備完了!といったところで気がついた。
体が……震えてきた。雨のなか濡れた服で立ち止まっていた時間が長かったのがよくなかったのか、ブルブルしてきたのだ。「これは危ないやつかもしれない」そんな気がした。低体温症になるのかもしれない。
出発前のトイレに並んでいるとき、目を閉じるとそのまま寝落ちしてしまいそうにもなった。恐怖心が増幅していく。幸いここから持ち直したのは仮設トイレのなかが比較的暖かく、そこで体や意識をうまく切り替えられることができた。リタイヤのテントのほうに目をやるとたくさんの人がリタイアをしているようだ。僕と同じように寒さが原因という人が多いのではないだろうか。
「よし!出発!」というところで、レインパンツに着替えている人を見て、僕も真似てレインパンツも履いてきた。Tシャツの替えは用意していたが、パンツは用意していなかった。だがレインパンツならザックにある。これなら持ちこたえてくれるのではないだろうか。完全にハイカースタイルになったが、仕方ない。これが今の実力なのだ。体は絶対に冷やさない、多少暑くてもそっちのほうがマシだ。
「こうなったら絶対にゴールだけはしてやる!」と心に誓い、力強く歩く。次のエイドまでは15kmあるんだとか。

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お腹は再び下る

そんな自分の力強いハートに釘を差したのが、再びやってきた腹痛だ。ガシガシと追い越しながら進んでいたのに、下りを恐る恐る走るものだから追い越されてしまう。次のエイドまで10kmあるのか、持ちこたえてくれよ〜と祈りながら慎重に進む。本当なら下り坂が多いので軽快に進めるパートなのに残念で仕方ない。やれやれと思いながら、たくさんの人に抜かされる。

復活のそうめん

2度目の腹痛を乗り越え、最後の関門に到着。今回のおんたけでお腹との向き合い方がうまくなったのは果たしていい収穫なのか。これまでは「水」を中心に味気ない出し物しかなかったエイドだったが、ここでは唯一「そうめん」が支給される。お手洗いを済ませ、完全復活。その後のそうめんがうまかった。「復活」ということばがこんなにマッチしたそうめんがこれまであっただろうか。
2杯いただき、いよいよゴールに向かう最後の区間に。

これまで「いくぞ!」と意気込んだ区間を2度の腹痛で足止めされてしまったが、最終区間にしてやっと「走る」というモードに。登りはガシガシ登って、下りは走り抜く。けっこう人も追い越すことができた。もっと早くこういう走りができていればずっと楽だったのに、スタート前のトイレマネジメントをもう少しシビアにやっておくべきだったなと反省。
トレイルの区間は走りきって、最後の水エイドに到着。ここで給水とこれまで走ってきた疲れをとって、最後のロードはまったり歩いて進む。関門にひっかかることはまずない。前も後ろも人がいない。静かな時間だ。

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100kmの部なのに「100km地点」を通過するミステリー

ゴールの運動公園手前の長い坂を登りきったあとはゴールまで走った。レインパンツは途中で脱いだけど、体をひやすことが強かったので雨はあがってもレインは最後まで着たままゴール。17時間以上もかかってしまった。
トイレの一つひとつが悔やまれたり、諦めずにやりきったことがよかったのではないかと達成感があったり、複雑なゴールとなった。

今回はレース中に起こる予期せぬ事態への対処が遅かったことが結果として体調の悪化につながってしまった。「ダメかもしれない」と思ったら悩まずにウエアを羽織る。悩む、逡巡するといったことがあとあと大きなダメージとなってかえってくる。リスクマネジメントというか、その鈍さを見直さないといけない、と強く感じた100kmだった。去年のハセツネでも着替えにまごついて時間を大幅にロスしていることを思い出した。こういうレース展開になると、経験の浅さが露呈してしまう。

林道が延々と続いて単調、修行のような大会と聞いていたけど、個人的には上で述べたようなトラブルへの対処を繰り返しているうちにあっという間にゴールしてしまった感じ。変化に富んだトラブルで違った意味で飽きが来なかった。

次走るときは走力抜きに上で述べた部分を改善するだけでグーンと成績がアップしそう。そう、自分の伸びしろをめっちゃ感じた100kmでもあった。