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上州武尊山スカイビュー・ウルトラトレイル (1)

随分前のことになってしまった。9月に開催された「上州武尊山スカイビュー・ウルトラトレイル」について自分の記憶を書いてみようと思う。

大会会場には、東京駅から新幹線で上毛高原まで行き、そこから事前に予約したバスで向かった。

120kmの部門なのに129kmあるんだぜ的な難コース

この大会は、わかりやすく言うとショート、ミドル、ロングの3カテゴリーに分かれており、私が今回参加したのは、「第3回川場村 山田昇メモリアルカップ120」というカテゴリー。

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大会前日に開催されたコース説明の様子。プロデューサーの横山峰弘さんによる丁寧な説明。トレイルランニングは練習しなければ完走できない難しいスポーツ。みなさん家庭を犠牲にしてこれまで練習してきたと思う。完走して、今度は家族サービスに尽くしてくださいというアドバイスが泣ける。

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120kmのカテゴリーだが、コースは129kmで累積標高は9200m程度とのこと。有名な100マイルレースUTMFが165kmで累積標高が7500m程度だということを考えるとこの大会のレベルの高さが分かると思う。

またコース中に、剣ヶ峰(2020m)、上州武尊山(2158m)という2000m以上のピークを擁するのも大きな特徴で、国内のウルトラトレイルではなかなか味わうことのできない「山岳」レースとなっている。UTMBなど険しいヨーロッパのトレイルレースへの出場を考える人であれば、UTMFよりもこちらの方が参考になるのでないだろうか(UTMF出たことないけど

説明と受付(熊鈴やポイズンリムーバー、雨具、ファーストエイドなどのチェックあり)を済ませた後は、大会の手配してくれたバスで宿に向かい、明日に備えた。

……のだがあまり眠ることはできないじゃないか。どうした俺。昨日までバリバリ夜勤で体内時計は夜型なのだ、働いていた一番頭が冴えている時間帯に熟睡するというのは無理があった。
果たして俺は寝たのか、それとも眠れなかったのか、不安を抱きしめながら今年初のトレイルレース当日を迎える。

スタートは突然やってくる

午前5時のスタート前に指ぬきのグローブをなくした。一体どこにやってしまったのだろう。着替えや準備を体育館でしていた時はあったのだが……。今回のコースは滑ったり転んだりすることが避けられないと思っていたので、できるだけグローブを着けていたかったのだが……。

これで手のひら全体がドロドロになることが確定した。

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スタートの前にカウントダウンなどがあるのかと思いきや、突然「パン」という乾いた音がなり、レースが始まった。これは新しいぞ。何か事件が起きたのかと勘違いしかねない。でもこれが上州STYLE。「スタート◯分前」みたいなアナウンスはあったのかな。去年のどえらく壮大すぎたCCCのスタートとはえらい違いだ。周りは騒然「えっ?」ってな感じで。私は腕時計のGPSの設定をしている最中だったので、動揺を隠せないスタートとなった。

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2km程度ロードを走るとトレイルに入る。トレイルのフワフワした柔らかな着地に違和感を覚える。本当に走れるのかな……きついかもしれない。そう思っていたが上の写真のように前半は前後の列が続くのでペースを上げて走るという場面はあまりない。一つ急な登りがあったが、ところどころにロードを交えつつA1(13km地点)に到着。

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最初のエイド、レースは始まったばかりだが充実したエイド

「A1は……過去2年のデータから 所要時間2時間以上の選手はかなり厳しいでしょう、最遅タイム2時間15分で通過しフィニッシュしています」

本大会のサイト内「120kmコースの要点」にこうあったので少しだけタイムを意識していた。時計を見ると2時間ちょっと手前。今年初のレースなので2時間15分でもオッケーと思っていたので「思ってたよりも早いな」という印象。まだ疲れてはいない。手短に水分補給とオレンジを数きれいただき、いよいよ剣ヶ峰へと至るトレイルへ。

ここからがトレイルランの始まりともいえる。引き続き前後が列となっており、所々では仲間同士が話している声が聞こえるほどのどかな雰囲気。だが、ここから600m程度をグイグイと登っていく山岳パートとなる。次第に前後がばらつき始め、視界が開けるとトレイルがぬかるみ、ガスに包まれた眺望に。

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これが……スカイビュー!?

「こりゃ大会名にあるスカイビューって感じじゃないなぁ」とぼやきながら進む。私自身は淡々と進んでいたつもりだが、後ろから抜かされる場面が増える。レース全体を考えれば「まだ始まってもいない」ような序盤だ。自分のペースに身を任せる。

そうこうしているうちに最初のピーク剣ヶ峰に到着する。

面白いほど滑りまくった剣ヶ峰からの下り

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ここからは一気に下っていく区間となる。トレイルランで下りといえばスピードアップの区間、走れる区間といったところだが、ここの下りはみんな慎重に下っていくので渋滞する。

「一体どんな下りなんだろう」と思っていたが、そのポイントに到着するとまぁ滑るすべる。むき出しの木の根と泥と何かが混ざり合ってヌルヌルすってんころり、尻もちツル〜ンの連続なのだ。まぁ要するにボデーバランスが悪いってそれだけなのだが、ここまで連続して滑ったことは初めてだったのでおかしくて笑えてきた。

そんな感じでしばらく滑っていると、ようやく走れる区間になる。
「よし!いくぞ!」と気持ちを切り替えてみたものの、力が入らない。「滑る→起き上がる→滑る」の連続がジワジワと体力を削っていたようだ。なんか疲れていて、しんどい。あらやだ、どうしたものかしら。

気持ちよく駆け抜ける選手を横目に林道に至るまでトボトボ歩く羽目に。
「まだ序盤、まだ序盤」と自分を落ち着かせるため念仏を唱えながら次のエイド(A2)を目指した。

<つづく>