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上州武尊山スカイビュー・ウルトラトレイル (1)

随分前のことになってしまった。9月に開催された「上州武尊山スカイビュー・ウルトラトレイル」について自分の記憶を書いてみようと思う。

大会会場には、東京駅から新幹線で上毛高原まで行き、そこから事前に予約したバスで向かった。

120kmの部門なのに129kmあるんだぜ的な難コース

この大会は、わかりやすく言うとショート、ミドル、ロングの3カテゴリーに分かれており、私が今回参加したのは、「第3回川場村 山田昇メモリアルカップ120」というカテゴリー。

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大会前日に開催されたコース説明の様子。プロデューサーの横山峰弘さんによる丁寧な説明。トレイルランニングは練習しなければ完走できない難しいスポーツ。みなさん家庭を犠牲にしてこれまで練習してきたと思う。完走して、今度は家族サービスに尽くしてくださいというアドバイスが泣ける。

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120kmのカテゴリーだが、コースは129kmで累積標高は9200m程度とのこと。有名な100マイルレースUTMFが165kmで累積標高が7500m程度だということを考えるとこの大会のレベルの高さが分かると思う。

またコース中に、剣ヶ峰(2020m)、上州武尊山(2158m)という2000m以上のピークを擁するのも大きな特徴で、国内のウルトラトレイルではなかなか味わうことのできない「山岳」レースとなっている。UTMBなど険しいヨーロッパのトレイルレースへの出場を考える人であれば、UTMFよりもこちらの方が参考になるのでないだろうか(UTMF出たことないけど

説明と受付(熊鈴やポイズンリムーバー、雨具、ファーストエイドなどのチェックあり)を済ませた後は、大会の手配してくれたバスで宿に向かい、明日に備えた。

……のだがあまり眠ることはできないじゃないか。どうした俺。昨日までバリバリ夜勤で体内時計は夜型なのだ、働いていた一番頭が冴えている時間帯に熟睡するというのは無理があった。
果たして俺は寝たのか、それとも眠れなかったのか、不安を抱きしめながら今年初のトレイルレース当日を迎える。

スタートは突然やってくる

午前5時のスタート前に指ぬきのグローブをなくした。一体どこにやってしまったのだろう。着替えや準備を体育館でしていた時はあったのだが……。今回のコースは滑ったり転んだりすることが避けられないと思っていたので、できるだけグローブを着けていたかったのだが……。

これで手のひら全体がドロドロになることが確定した。

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スタートの前にカウントダウンなどがあるのかと思いきや、突然「パン」という乾いた音がなり、レースが始まった。これは新しいぞ。何か事件が起きたのかと勘違いしかねない。でもこれが上州STYLE。「スタート◯分前」みたいなアナウンスはあったのかな。去年のどえらく壮大すぎたCCCのスタートとはえらい違いだ。周りは騒然「えっ?」ってな感じで。私は腕時計のGPSの設定をしている最中だったので、動揺を隠せないスタートとなった。

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2km程度ロードを走るとトレイルに入る。トレイルのフワフワした柔らかな着地に違和感を覚える。本当に走れるのかな……きついかもしれない。そう思っていたが上の写真のように前半は前後の列が続くのでペースを上げて走るという場面はあまりない。一つ急な登りがあったが、ところどころにロードを交えつつA1(13km地点)に到着。

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最初のエイド、レースは始まったばかりだが充実したエイド

「A1は……過去2年のデータから 所要時間2時間以上の選手はかなり厳しいでしょう、最遅タイム2時間15分で通過しフィニッシュしています」

本大会のサイト内「120kmコースの要点」にこうあったので少しだけタイムを意識していた。時計を見ると2時間ちょっと手前。今年初のレースなので2時間15分でもオッケーと思っていたので「思ってたよりも早いな」という印象。まだ疲れてはいない。手短に水分補給とオレンジを数きれいただき、いよいよ剣ヶ峰へと至るトレイルへ。

ここからがトレイルランの始まりともいえる。引き続き前後が列となっており、所々では仲間同士が話している声が聞こえるほどのどかな雰囲気。だが、ここから600m程度をグイグイと登っていく山岳パートとなる。次第に前後がばらつき始め、視界が開けるとトレイルがぬかるみ、ガスに包まれた眺望に。

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これが……スカイビュー!?

「こりゃ大会名にあるスカイビューって感じじゃないなぁ」とぼやきながら進む。私自身は淡々と進んでいたつもりだが、後ろから抜かされる場面が増える。レース全体を考えれば「まだ始まってもいない」ような序盤だ。自分のペースに身を任せる。

そうこうしているうちに最初のピーク剣ヶ峰に到着する。

面白いほど滑りまくった剣ヶ峰からの下り

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ここからは一気に下っていく区間となる。トレイルランで下りといえばスピードアップの区間、走れる区間といったところだが、ここの下りはみんな慎重に下っていくので渋滞する。

「一体どんな下りなんだろう」と思っていたが、そのポイントに到着するとまぁ滑るすべる。むき出しの木の根と泥と何かが混ざり合ってヌルヌルすってんころり、尻もちツル〜ンの連続なのだ。まぁ要するにボデーバランスが悪いってそれだけなのだが、ここまで連続して滑ったことは初めてだったのでおかしくて笑えてきた。

そんな感じでしばらく滑っていると、ようやく走れる区間になる。
「よし!いくぞ!」と気持ちを切り替えてみたものの、力が入らない。「滑る→起き上がる→滑る」の連続がジワジワと体力を削っていたようだ。なんか疲れていて、しんどい。あらやだ、どうしたものかしら。

気持ちよく駆け抜ける選手を横目に林道に至るまでトボトボ歩く羽目に。
「まだ序盤、まだ序盤」と自分を落ち着かせるため念仏を唱えながら次のエイド(A2)を目指した。

<つづく>

シン・ゴジラ1号雛型(形状検討用)を見てきた

有楽町駅から歩いてすぐのところあるドコモラウンジ(東京・丸の内)に「シン・ゴジラ1号雛形」が展示されているというので、仕事の合間に見てきた。

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竹谷隆之さんの原型。かっこいい。めちゃくちゃかっこいいぞ。
一家に1個飾っておくべきクオリティ。

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映画だとじっくり味わうことができない、シンゴジラの構造、皮膚の感覚、不揃いの歯……そういったものがはっきりとわかります。

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展示スペースは空間の余裕がたっぷりあって、しかも平日のお昼だったからか人もまばら。ドコモラウンジにいたお客さんでシン・ゴジラにかぶりついていたのは私だけ。独り占め状態で、ぐるっと360度舐め回すように鑑賞してきた。

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立体物なので、映画で見て気になったパーツをこうしてじっくり味わうこともできる。例えば印書的だった尻尾もこんな具合に。

できるだけたくさんの人に見てほしいと思った素晴らしい展示だが、どうも12日までの短期公開とのこと。「山の日」もあるので、時間のある方はぜひ。

ドコモラウンジ

晩秋の丹沢へ

11月も終わろうという頃、久しぶりに山へ足を運ぶことができた。

場所は丹沢。渋沢駅から大倉へ向かうバスは朝からいっぱいだ。

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大倉のバス停からまずは鍋割山へ向かう。鍋割山から大倉へ下ったことはあったが、登るのは初めて。林道区間は気持ち良くジョグしていたが、本格的な登りが始まってからはあまりにキツく、早速心が折れてしまった

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ほとんど眠らずに見る朝日は異様に眩しい。キラキラ光っているのは海だ。

サングラスを持ってくるべきだったな……と眩しい光にクラクラしていると、やっとの事で頂上へ到着。鍋割山といえば「鍋焼きうどん」が有名だけど、この日はスルー。残念な時間帯の訪問となってしまった。

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来年またうどんを食べに来よう!

鍋割山から塔ノ岳までは細かなアップダウンを繰り返しながら進んで行く。ハイカーも少なく、下り基調では心おきなく走ることができた、と言ってもジョグ程度のまったりとしたペースなのだが。

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塔ノ岳から向かうは丹沢山。太陽が昇ってっくると霜が溶けてトレイルがぬかるんでくる。この日はHOKAのSpeedgoatを履いていたので、スリップすることはなかったが、霜の溶けた冬のトレイルが苦手という人もなかにはいるかもしれない。

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ここで一旦休憩、丹沢山の山小屋でカルピスウォーターを飲む。うまい。トレランのときはコーラが鉄板だけど、カルピスもいいじゃないか。カルピスをエイドで提供してくれるレースってあるのかな。

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これまでいくつか写真をアップしてきたけど、この日は本当に空が綺麗で、海も富士山も澄んだ空気の中で際立って見えるものだから本当に気持ちが良かった。

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丹沢山から塔ノ岳に戻るとお昼手前くらいで富士山に向かって腰掛けて食事をしている人がいっぱい。気持ちいいだろうなぁ。私もコンビニで菓子パンをお昼用に用意していたのだが、朝から空腹で行きの電車で食べてしまうという失態をしてしまったのだ。仕方なく富士山を見ながらジェルをいただく……高揚感はない。こういうところでお湯を沸かしてカップラーメンを食べている人たちが実に羨ましい。地上で食べればただのカップ麺もここではご馳走になる。

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夜勤明けで寝ずに丹沢に来たのでさすがにお昼になると眠くなってきた。意識が覚醒しているうちに下山を決意。帰りは大倉尾根を下っていく。まだ少しだけ、紅葉が残っていた。

25kmくらいの短いトレランだったが、久しぶりの山はとても気持ちが良かった。年を重ねるごとに自然が好きになっているのを実感する。これが老いなのだろうか。

次、丹沢に行くのはいつだろうか、来年だろうな。

そうだ。今日から12月。あっという間に年末である。。

エアジョーダンの記念イベント、MUSEUM 23 TOKYOへ行ってきた

エアジョーダンシリーズを始めとするナイキのジョーダンブランド30周年を記念し東京都現代美術館で開催された「MUSEUM 23 TOKYO」へ行ってきた。

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展示自体はシンプルなものだったが、日が暮れた閉館間際の時間だったのでゆったり見ることができた。事前のweb予約が必要だったが、当日その場で申し込めば入場できるようだった。

ファンにはたまらん展示、ファッションとしてのジョーダン。

エアジョーダンシリーズのスニーカーは、歴代のシリーズが一列に。ショップなどとは違い、ショーケースに並んで収められているので一つひとつの作品性が味わえる展示となった。

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天井を見上げるとそこには、MJのポスターが。懐かしいデザインだ。

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美術館の中にはバスケットコートが。ボールも貸し出されていたので遊ぶこともできる。私はボッチだったので大人しくスルー。ボール拾いでもすればよかっただろうか。

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ジョーダンの緊張感が再現されるアトラクション

今回の展示の目玉はこれ。この建物の中で繰り広げられた「LAST SHOT」。151020-01-7

シカゴブルズ2度目のNBA3連覇を決めた1998年NBAファイルのユタジャズとの試合で放ったジョーダン現役最後のシュートを再現できる。

まずはこの動画を見てほしい。

試合終盤で1,2点差の緊張感溢れる「ミスの許されない」局面。ジョーダンはフリースローを2本とも決めるが、ジャズはストックトンの3ポイントで3点差に引き離す。次のブルズのターンでジョーダンはレイアップを決めて再び1点差に迫る。まだジャズが有利。だが、次のジャズの攻撃の場面でジョーダンは相手からスティールして自らボールを奪い、ドリブルで突進。残り時間5秒で放ったジャンプショットはジョーダン現役最後のシュートとなり、ブルズが1点差でジャズを破り優勝を決めたシュートともなった。

今回はこれに挑戦できる。試合が始まると真っ白だった壁(ビジョン)が突然満員のアリーナに変身。臨場感溢れる中でプレーヤーはラストショットまで5秒を切ったところからボールを持ってスタート。相手ディフェンスがつく中、床のスクリーンに映し出された進路に沿ってドリブルし、シュートを放つ。

私が申し込んだ時はすでに満員だったので参加できなかったのでしばらく見学していた。
「バスケ経験者です」「さっきまでバスケの練習をしてきました」と言った「やってくれそうな人たち」も、このたった一度しかチャンスの与えられないワンプレーを決めることがなかなかできない。

一人当たり10秒も満たないアトラクションだが、立派なエンターテイメントとなる。

これを書くにあたって上のラストショットのビデオを見直して、思わず「Yes!」と声を上げてしまった。ブルズで3連覇を果たした後に引退、野球の道へ進み、再び復帰、そしてブルズを2度目の3連覇に導き、引退。3連覇することの難しさ、そして引退期間を挟みながら、それをもう一度やってしまう難しさ。こんな選手、2度と会えないだろうな。

トレイルランナー・山本健一 書籍出版&レース入賞記念トークライブ・サイン会

湘南T-SITEで開催された山本健一さんの「書籍出版&レース入賞記念トークライブ・サイン会」へ行ってきた。先日出版された書籍「トレイルランナー ヤマケンは笑う」はすでに読んでいたが、今回はちょうどUTMBと同時期に同じフランスで開催された「レシャップベル」(144km、累積標高1万900m)で2位になった話が中心のようだったので興味津々だった。

(書籍は絶賛発売中なので読んでみてください、爽快感全開の1冊です)

トークは今回レシャップベルに同行したフォトグラファーの廣田勇介さんとの対談形式で振り返る内容。スライドには廣田さんが撮影した写真が映し出されて、それに沿って振り返る。参加者はきになるところで勝手に挙手して質問するスタイル。

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めっちゃ綺麗なブルー、こんなところを走るなんて。

参加者が関心を持っていた一つがヤマケンさんの「食」について。上の著書に書いてあるのだが、ヤマケンさんは酒、カフェインは一切取らなくなった。できれば白砂糖も取りたくないそうなのだが、これは色々な料理に含まれているので完璧には無理だそうだ。元々お酒は大好きだそうだが、最初の2つは絶っているという。アルコールやカフェインはそれ自体が感情を支配する作用がある。ヤマケンさんが掲げて取り組んでいる「野生の走り」を「自分の思いままにコントロールする」という取り組みには、「何かに支配される」ということは大きな障害になる……確かそんなことを話していた。ただこれが本当に正解なのかはわからない、手探りで「実験している」との事だった。

100km走って野生モードに

この「野生の走り」はこのレシャップベルの話でも再び出てくる。最初は「ノルウェーの大会」だと聞いて参加することを決めたそうだが、実はフランスだったというレシャップベル。100マイルならまだしも、144kmで累積標高が1万メートルを超えるというコースは最もキツく、そしてこれまで走った中で一番美しい風景だったと話していた。

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いつもはエイドで待ってくれているサポートクルー(チームヤマケン)と話をするのが楽しみでエイドに入るというが、今回はあまりの辛さに上の写真のようにエイドで倒れこんでしまったという。本のタイトルにある、彼のスタイルでもある「ヤマケンは笑う」とはいかなかったわけだ。非常に厳しい状況でレース中に何度も眠ったという。

そして100kmを過ぎてようやく「野生の走り」がやってきたという。野生の走りは、レース中に一度しかやってこない。またコースをロストしたり、ちょっとしたきっかけで終わってしまうという。確変とでもいうか、アスリートのいう「ゾーンに入る」というニュアンスに近いのか、無敵状態になるのだろう。対談相手の廣田さん曰く、野生モードに入ってからはエイドに戻ってくると声や肌ツヤが違ったとか。このスーパーな状態をできるだけ長く、自分の出したい時に発揮するために取り組んでいるのが「実験」だという。

いやぁ、この話が面白いのだ。「もうダメだ」というところから、驚異的な復活を遂げてゴールまで突っ走っていく。まるでスーパーヒーローのようじゃないか。ウルトラトレイルのアスリートの状態は科学的にどれほど研究されているのかわからないが、まだまだ人間の未知の領域、もしくは遠い昔に人間が忘れてしまった何かがそこにはあるような気がした。

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来年発売予定のヤマケンモデルのザック。ザイゴスをベースにストックの収納など山本さんの要望・意見が反映されて改良されているっぽい

海外の大会はいつも誰かが勧めてくれた大会を「それよさそうだね」と決めているそう。自分からは選ばないそうだ。来年の予定はまだ決まっていないとのこと。「また誰かが勧めてくれたやつに出ます」みたいなことを話してくれた。

あまりに話が膨らんで、レシャップベルの話はかなりハイペースで話して終わってしまったが、あっという間の時間で自分含めて参加者の人たちは充実した時間を過ごせたのではないだろうか。山本さんは世界のトップレベルで上位に入るトレイルランナーだが、普段は山梨県の高校教師だ。なかなか関東に住む私が話を聞く機会もなく、こうして書籍の出版を通じて機会を得ることができたのは大変嬉しかった。

「Harder and more Beautiful」 L’ECHAPPEEBELLE:華麗なる脱出 from RIGHTUP Inc. on Vimeo.

今回の山本さんのレシャップベルの映像が上のリンク先にあります。美しく、厳しいレース、支える仲間たちの30分強のドラマ。これ無料で公開していいのでしょうか。必見です。

日帰りで赤岳に行ってきた

何を思い立ったのか、10月の連休を使って八ヶ岳の赤岳に行ってきた。

連休……と言っても半ば日帰りのようなもの。日曜日の夜にバスに乗って、月曜未明に八ヶ岳山荘に到着。そこで5時まで仮眠のつもりが、爆睡してしまい寝坊。慌てて出発することに。

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八ヶ岳初体験。野辺山ウルトラを思い出す。

当初のコースは「美濃戸口〜南沢〜行者小屋〜中岳のコル〜阿弥陀岳〜赤岳〜地蔵尾根〜赤岳鉱泉〜北沢〜美濃戸口」という日帰りルート。帰りは午後3時発の新宿行きのバス。その前に八ヶ岳山荘のお風呂にも入っておきたい、そんなことから美濃戸口には午後1時過ぎには戻ってきたい。あまり時間はないのだ。

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それにしても八ヶ岳は寒い。ついこの間クールビズが終わった都内とは勝手が違う。氷点下の世界だ。秋はすでに終わって、これはなんじゃないか。
南沢を進む。途中から水の枯れきった川のような石だらけの道をひたすら歩く。足場が不安定で歩きづらいと思っていたら、隣の小道を歩く人たちが。ああ、あれが正解だったのかと思っているとあっという間に行者小屋に到着した。

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行者小屋では家にあったあまりもののジェルで補給。

小屋の隣にはテント場があってまだいくつものテントが並んでいた。
いやぁ、この寒さの中テントで耐えきれるのだろうか。昨日は確か雨だったはずだ。来月開催されるOMMに出る人にとってはいいテストになるのかもしれないが……。

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行者小屋ではたくさんの登山者がいたが、「中岳のコル」へ向かう道になると途端に人が少なくなって心細くなる。それでも少しずつ高度感を実感していくと気持ちは高ぶるものだ。

コルに到着。すると一気に視界が開け、登山客も増えた。

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この日、とにかく富士山が美しかった。

おお、これぞ連休といった賑わいだ。ザックがたくさん置いてあると思ったらどうも阿弥陀岳へ登るのに重い荷物は置いて登るらしい。なるほど、これが阿弥陀岳か。

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ハシゴが見える。阿弥陀岳。楽しそう。

ここでしばし悩む。登るべきか、避けるべきか。阿弥陀岳には登りたい。でも、メインは赤岳だ。バスの前にお風呂に入らなくてはならない。何せ初体験、この先どんな展開になるのかも読めないので……う〜んと悩む。結局無理せず阿弥陀岳はパスすることに。ここで今日の目標が明確に「赤岳」となる。そうと決まれば向かうだけだ。

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途中で「中岳」という小ぶりなピークに到着。ここを下りきるといよいよ赤岳だ。

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中岳の頂上から赤岳を見る。あのてっぺんまで行くのだ。写真下の2本の棒のようなのが人だ。

序盤はジグザクに歩きやすい道が続く。上の写真を撮った時は「まじかよ〜」と感じるが、実際はそこまでの距離感やハードなものではなく、ホッとした。想像したほど傾斜もなく軽快なリズクで心地よく歩む。

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後半戦はゴツゴツとした岩が多く、手を使いながら進んでいく。手を使って四つん這いで登るのは実は大好き。お猿さんになった気分が味わえる。

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鎖に掴まって慎重に登り下りをするので、集団と入れ違いになると彼らがすべて降りるまで気長に待ちながらゆっくり進む。頂上までの理由は上のような理由で休憩時間が多かったので、私は疲れることなくゆったりとした登山を楽しむことができた。

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赤岳山頂、標高は2899m。1mくらいおまけしてやってもいいんじゃないだろうか。ここが八ヶ岳では一番標高が高いんだとか。頂上が近づくにつれて風が強くなってきた。この日は全体的に風が穏やかだったはずだが、頂上は容赦なかった。

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頂上で富士山を眺めていると、周りから「昨日が初冠雪だった」という話を聞いた。雪をかぶった富士山。今年の夏は日帰りで富士山にも登ったのだった。季節は確実に進んでいる。

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頂上から赤岳展望荘(上の写真右の青い屋根)への下りはスリリングな傾斜。一方登る方も大変で怖い怖いと言いながら登る女性とすれ違った。展望荘ではお手洗いを借りて、ホットカルピスをいただく。よく考えたらジェル一つしか補給していなかった。日差しが差しても寒いものは寒い。カルピスがやんわりと体を温めてくれる。

実はここでかなり長めに休むことにした。と言うのも、お風呂の時間をしっかり取ったとしても想定よりもかなり早いペースで来ていたのだ。ストックを使わず、腿に手を置いてハァハァ言いながら登るのでコースタイムよりもずっと早いペースになってしまう。かといって少し寄り道をするのもバスやお風呂の関係もあって心配なのだ。

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下りは走りやすいトレイルが続く。今回はパーゴワークスの「Rush28」を使っている。少し大ぶりのザックだが、ジョグ程度のペースで走るのには困らない。

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シューズはHOKA ONEONEの「Speedgoat」。シャモニーでは普段履きとして使っていて実戦投入しなかった。そんなこともあって今回やっとトレイルで履くことができた。ビブラムソールがいいのかな、滑ったりするストレスもなく霜がとけてぬかるんだ場所でもすっと移動することができた。

赤岳鉱泉でちょうどお昼を迎えたのでランチでカレーとコーヒーを食べて一休み。テント泊の人たちが鍋やらなんやら楽しんでいるのが楽しそうだ。1泊できればゆったりでも色々と移動ができて楽しそうだな、八ヶ岳は。

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美濃戸口には1時すぎに到着。お風呂に入って、ビールを飲んでまったりしながらバスを待つ。帰りのバスは連休最終日ということもあり渋滞していたが、ウトウト眠っていたらのでそれほど長時間に感じられなかった。

もう山には冬が訪れていた。年内に行くことはないが、山小屋やテントの宿泊を温かい時期にすればトレランとは違った楽しみが味わえそうな気がした。今回の入門ルートは、山小屋も水場も豊富で疲れたらすぐに休憩できるのがいい。

幼い頃はなんとも思っていなかったけど、自然を楽しむというのは贅沢な遊びなんだな。

※Speedboat、結構在庫が切れているみたいで……。ブラックの方はまだある方かな。

 

THE NORTH FACE Athlete Talk Session UTMF Special w/Seb&Robb

何を今更といった話になるが、9月には「ウルトラトレイル・マウントフジ(UTMF)」があった。
国内最大のトレイルランニングレース。国内では貴重な100マイルレースの一つだ。

私は抽選の結果、落選という大変残念な状況で、UTMFとは無縁な9月を過ごすつもりでいた(当選したとしてもCCCの燃え尽きが大きく心と体の準備が全くできていなかったはず。それに悪天候で半分も走れなかっただろう)。ところがUTMF開催に伴う関連イベントに参加することでUTMFウィークを楽しむことができた。

それがノースフェイス原宿店で開催された「THE NORTH FACE Athlete Talk Session UTMF Special w/Seb&Robb」だ。ノースフェイス契約のアーティスト、セバスチャン・セニョー選手(フランス)とロブ・クラー選手(米国)がUTMFに伴って来日、それを記念してのトークセッションとなった。

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セブ(左)とロブ。時間はあっという間に過ぎていった。

セブは今回はSTYに参加(見事優勝している)、そしてロブは残念ながら怪我でDNF、出場する奥さんのサポートに回るという。

セブからは怪我からのリカバリーに関する話、そしてロブからは2連覇を果たしたウエスタン・ステイツの話が中心にトークが繰り広げられた。トップ選手の話だがテクニカルな話はそこそこでほとんどはマインドに関わる話で、聞いているだけで沸々とモチベーションが上がってくる気がした。(大事なのは行動することなのだが、体はまだ充電を欲している)

実は最も驚いたのは質疑応答で、参加者からの質問のほとんどが英語なのだ。参加者はできる奴ばかりではないか。
「英語がわからない人もいるんだよ、まじ勘弁してくれよ」「英語の話せない人は質問しちゃいけないムード漂ってない?」などと疎外感を味わう一時だった。シャモニーならまだしも原宿でも言語の壁に阻まれるとは。

こうしたトップ選手たちがわざわざ日本までやってきて、こうしたトークイベントに参加することができるのもUTMFがあるからだ。参加しない私も恩恵を授かることができた。セブとロブと写真まで撮ってしまった。二人ともナイスガイじゃないか。ありがとうUTMF。そして私も出たいぞUTMF。

UTMBのような大会を目指す必要はないと思うが、国外への発信力を持つ100マイルレースは日本にあるべきだと思うし、UTMFはそうでなければならない。今後もこうしたイベントの開催を続けていってください。シルバーウィークは仕事オンリーだったが、おかげで素敵なリフレッシュタイムとなった。

【参考書籍】

毎年様々な課題が出るUTMFだが、それを一つ一つ乗り越えていい大会になっていってほしいとこれを読むと素直に思える。そして「俺もUTMFに出てみたい!」と思うようになるもんだから厄介だ。そこんとこ要注意だぞ。

ロープウェイで富士山超え、エギーユ・デュ・ミディ展望台

シャモニー・モンブランの象徴

フランス、シャモニーの象徴といえばモンブラン。
標高は4808メートル。タレントのイモトさんが2010年に登ったあれだ。

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右の銅像が指さした先にあるのがMont Blanc(だと思う)。

モンブラン登山は大変だが、簡単に近づける展望台があるというので、ロープウェイで行ってきた。シャモニーには他に有名な観光名所は他にも氷河のトンネルなどもあるのだが、午後にはCCCの選手受付をしておきたかったこと、いつになるかわからないが次に来るときの楽しみを残しておく、といった理由で観光は展望台一つに絞った。

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朝食を済ませ、ホテルから歩いて10分。すでに上のような行列だ。
ネットで予約できると知ったのは後のこと。すでに予定を立てている人は事前にネットで予約がオススメ。30分並んでやっと受付に。上のような状況で混んでいるので、渡されたカードに書いてある数字が表記されるまで待ってくれとのことだった。1時間くらい待ったのかな。

ロープウェイを2本乗り継いで展望台へ

展望台までは一気に登るのではなく、2本を乗りついで進む。
途中でロープがブワンブワンとたわむとロープウェイが上下に大きく揺れる。手が汗ばむ

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2つ目の展望台行きのロープウェイ。展望台は写真左上にある細長い棒だ。わかるだろうか。

いよいよ展望台だ。氷河や切り立った岩肌に近づく。緊張で手の平が随分湿ってしまった。
ロープウェイは早くてあっという間に非現実的な世界に連れて行ってくれる。なんというスケール、こんな高いところまでロープウェイを作るフランスの人はどうかしてるぜ。
このロープウェイ、どうやらここから乗り継いでイタリアの方まで抜けることもできるんだとか。山越えが大変だからロープウェイで国境またいじゃおうぜ的な考えで作ったのだろうか。

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ロープウェイでこんなところまで。アルプスだ!

ロープウェイを出ると広がる新世界。今まで見た世界とは全く違うところに来てしまった。

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よく見るといたるところに登山?を楽しむ人たちだ。

ロープウェイを2本乗り継いで展望台に到着。階段を登ってヨーロッパアルプスの山々を眺める。しかし、なんでもないような階段を登るだけで息が乱れる。苦しい。これが高山病ってやつか、目眩がする。

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展望台はここで終わらない。上の写真の塔までエレベーターで行くのだ。

私のようなジーンズでふらっと来た人もいれば、これから登山を楽しむガチな人も。

私のようなジーンズでふらっと来た人もいれば、これから登山を楽しむガチな人も。

富士山越えの3842メートルへ

エレベーターは2台稼働しているが、ロープウェイが混雑していたようにこちらも15分ほど待ったと思う。乗ってしまえばあっという間だ。
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エレベーターを登ると、標高3842メートル地点に到着。私の歴代最高到達地点がこの展望台となった。7月に登ったばかりの富士山(3776メートル)を簡単に更新。運動ゼロ、乗り物に乗るだけのあっけない更新となった。

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写真奥手にある頂点がモンブラン

昨年ミラノに行ったときは「ミラノ風ドリア」を食べそびれた。今回はせっかくだからモンブランを見ながら「モンブラン」のケーキや九州のアイス「ブラックモンブラン」を食べてもよかったかもしれない。そう思ったのはシャモニーに戻ってからだったけど。

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塔から眺めた展望台とシャモニーの街並み。

塔には新しい名所ができたみたい。
それがこれ。

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ガラス1面のボックスで記念撮影ができるスポット。
高所恐怖症の人は絶対に下見たらいけない

天気も良くて、眺めは最高。
標高の割に暖かくて最高に楽しめた。天気の良い、空気の澄んだ午前がおすすめ。

こんなロープウェイを作るなんて、スケールが違うな大陸は。
私は軽度の目眩で済んだけど、これ高山病の人はどうなんだろう。周りに苦しんでる人はいるように見えなかったけど、その辺は気になった。上の写真を見ると小さい子供も楽しんでいるようだけど。
富士山もいつかこんな感じでサクッと行ける日が……いやさすがにないか。

あさば 修善寺

150614-01-17踊り子号で横浜駅から修善寺へ。
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タクシーで10分程度で「あさば」に到着。
この昔ながらの温泉旅館の門をくぐったところから、異世界に入り込んだような気分になる。

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都会の曇りや雨は好きじゃないけど、田舎のこういった空模様は素敵。

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150614-01-6外の世界とはまったく違う風景が広がっているので、面食らってしまった。あの門の向こうがこんな洗練されているなんて聞いていない。池の対岸に舞台があるのも、あの門からは想像できない。

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なんか、大変なところにきちゃったな。

150614-01-5部屋にお風呂についている部屋にしたんだけど、入ってみるとこれまた……。

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窓一面の緑。これは枝垂れ桜の木なんだとか。春はどれほど美しいだろう。この季節の緑も素敵だけど。非日常感の演出が徹底されていてただただ圧倒されてしまう。

あまりにパンチが強かったので、気分転換に修善寺温泉を散歩。

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ここが修善寺。

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夜はこの日まで蛍の鑑賞イベントもあって、ちゃんと蛍を見ることができた。

昔は実家のそばの水源にも、視界が光で埋まるほど蛍が飛んでいたんだけどいつからかいなくなってしまった。そこまでの数ではなかったが、鑑賞するには十分すぎる蛍の光だった。

部屋のお風呂のほかに、露天風呂(男女入れ替え制)、個室風呂が2つ、そして男女別の大浴場があった。個室の風呂は予約制ではなく空いていれば自由に入れるので便利だった。

食事はゆっくり2時間強のコース。
素晴らしい時間だった。ゆっくり一品ずつ食べていくので、終盤には確実に満腹になっている。味も量も満足できるだろう。

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料理の写真はうまく撮れていないので、簡潔に。

150614-01-12銀の鍋(そんなのがあるとは)でつくる「鯵たたき吸鍋」
もっと食べたかった……。

150614-01-14 150614-01-15鮎の炭火焼き。籠の盛りつけが素敵。

150614-01-16穴子黒米ずし。修善寺は黒米の産地なんだとか。
穴子の肉感がもうプリップリ。

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夜は舞台がライトアップされてまたまた素敵。この舞台で結婚式をあげることもできるそうだ。

寝る前に露天風呂に入る。露天風呂はこの池に面していて、舞台もすぐそばで見れる。ボーっと風呂に横になって、ライトアップされた山を見てボーっとする。暗闇に映えるグリーンが眩しい。
露天風呂には翌朝も入ったし、帰る前には部屋の風呂でも温泉を味わった。

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昨日とかわっていい天気の翌朝。ソファに腰掛けると目の前に滝がある。

風呂上がりにいただいた朝食もコースのように一品ずつ丁寧に食べていく。慌ただしい、いつもの朝ごはんとは違う。これもファンタジー。

150615-01夢のような……とは言いすぎだけど、日常とは一線を画した世界がそこにはある。

また、いつの日か。

第25回チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン(100kmの部)

チャレンジ富士五湖ウルトラマラソンの100kmの部(4 lakes)に参加してきた。
※装備などについては前回のエントリーを参照

当日のスタートは午前4時半。東京とは異なり、山梨県富士吉田市は今が桜満開のお花見シーズン真っ只中。そんな山梨の朝方はとにかく寒い。

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スタート地点、朝方というよりも夜。

前回のエントリーにあったように、寒い大会だというのは聞いていたので多少厚着をしてスタート直前まで待って、直前にウィンドシェルのなかに来ていたウェアを一枚ザックにしまってスタートブロックへ。

走り出すとあっという間に体は暖かくなるが、少しでも立ち止まると一気に体を冷やしてしまいそうだ。スタート地点の競技場からまずは下り基調で山中湖へ向かう。コースマップによると、山中湖をぐるっと1周したあと再び競技場に戻るとある。
「ってことは、今下った長い坂を登らなくてはならないのか」なんてことを考えるとゾッとしたが、先のことは考えず今だけを見ることに。

走り自体は思ったよりも体が動き、調子も良さそうだと思ったが15km手前あたりでトラブルが起きた。お腹を下したのだ。山中湖沿いは公衆トイレが充実していたので、とても助かったのだが、以降お腹に妙な違和感を残したまま走り、エイドにつくとかなりの確率でトイレに立ち寄ることになった。

トイレを待つ時間を含めたタイムロス、そして奪われる体力。全てがマイナスの方向へと向かっていくなか、ゴールを目指さなくてはならなくない。最悪の展開だ。

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山中湖から眺める富士山、神秘的だ。

ズルズルとペースは遅くなり、気がつくと周りはブロックスタートで自分よりもあとにスタートした人たちばかりになっていた。周回遅れをしているような気分になる。

山中湖から競技場に戻る長い登り坂は35km付近でやってきた。長い登り坂。ところどころ歩きながら進む。徐々に走りよりも歩きのほうが多くなっていく。そして坂を登りながらやってきた第3関門(38.7km)。
時計をみると関門15分前だということが発覚。ギリギリじゃないか。このままでは完走できない。危機感が募る。競技場への登り坂を走れないということは、フラットと下り坂はしっかり走らないと相当厳しいことになる……。そんなことを頭に叩き込みながら先を急ぐ。

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河口湖畔。桜の見物客で大変にぎわっていた。

 

お腹の妙な違和感は残ったままだ。走りだけに集中できればいいのだが、意識の2,3割はお腹へいく。下腹部にも力が入ってしまう。もっと走る方へリソースを集中させたいのだが、それができない。これがきつい。

桜の綺麗な河口湖を抜けて56.6kmの第3関門に到着。真っ先に時計を確認すると関門1時間前。けっこう走ったつもりだったが、それでも1時間しか余裕がないのか。気持ちが落ち込む。

西湖から精進湖へ向かう道は長い下り坂だった。精進湖へ向かうランナーが坂道を下る一方、精進湖から西湖へ戻るランナーはその坂道をひたすら登っていた。ゾッとした。西湖を一周したあと、この坂を登り続けなければならないのか。ただ先のことを考える余裕はない。関門時間を意識しながら前を急がねばならない。

精進湖を半周したところでたどり着く第4関門には25分前に到着。相変わらずギリギリな展開だ。そんなときでもトイレにいかなくてはならない。苦しい展開だ。

「次の関門まで8kmなのに1時間半も時間があるんだ、これは余裕だ!」なんて声がエイドから聞こえてきた。精進湖から西湖へ戻る登りのために設定しているのだろうか、それにしても1時間半もかかることはない。この区間全てが登りではないのだから。登りは全部歩いた。それでも80.6kmの第5関門までの区間で1時間以上の余裕を作ることができた。

次の関門までおよそ15km。長い……15kmと考えると一気に滅入ってしまうので、給水所を一つのゴールとして考える。5kmなら走り続けることはできなくても、前へ進むことはできる。給水所に到着したら、また次の給水所までの距離を確認する。95km地点にある最後の関門、第6関門までの15kmが一番精神的には堪えた道だった。ここまでで1時間30分の余裕をつくった。
残り5kmで1時間半。これならゴールできそうだ。相変わらず休憩所ではトイレに向かっていたが、ここでやっとゴールを確信した。とはいえ油断は禁物だ。

最後の5kmを分解すると序盤は登り3km、それが終わると下りが2km。
登りのコースは覚えている。山中湖を終えて河口湖へ向かうとき駆け下りた坂を今度は登らなくてはならないのだから。その距離3km。足はとうに限界を迎えている。駆け上がることなどできない。 ゆっくりだが着実に歩みを進める。

登りきったあとにやってくる最後の下り区間でスピードをあげて、その勢いのままスタート地点の陸上競技場に戻ってきてゴール。制限時間の35分ほど前にゴール。やっぱりギリギリだったな。

100kmのウルトラマラソンの大会に初めて出た。3月の大江戸ナイトランは112kmをほぼ走りきることができたが、今回はボロボロ。お腹のトラブルといい、戦い抜く準備ができていたとは言いがたい。何度も「関門にひっかかってリタイヤになってくれ」と思いながら走っていた。

お腹のトラブルや不安を抱えながらのゴールだったので直後は涙が出てきそうになった。ただ嬉し涙なのか悔し涙なのかはわからなかった。

来月の野辺山ウルトラマラソンも厳しい戦いになることは必至だ。万全の体調で気持ちを切らさず、ゴールを目指したい、今度こそは。