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上州武尊山スカイビュー・ウルトラトレイル (1)

随分前のことになってしまった。9月に開催された「上州武尊山スカイビュー・ウルトラトレイル」について自分の記憶を書いてみようと思う。

大会会場には、東京駅から新幹線で上毛高原まで行き、そこから事前に予約したバスで向かった。

120kmの部門なのに129kmあるんだぜ的な難コース

この大会は、わかりやすく言うとショート、ミドル、ロングの3カテゴリーに分かれており、私が今回参加したのは、「第3回川場村 山田昇メモリアルカップ120」というカテゴリー。

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大会前日に開催されたコース説明の様子。プロデューサーの横山峰弘さんによる丁寧な説明。トレイルランニングは練習しなければ完走できない難しいスポーツ。みなさん家庭を犠牲にしてこれまで練習してきたと思う。完走して、今度は家族サービスに尽くしてくださいというアドバイスが泣ける。

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120kmのカテゴリーだが、コースは129kmで累積標高は9200m程度とのこと。有名な100マイルレースUTMFが165kmで累積標高が7500m程度だということを考えるとこの大会のレベルの高さが分かると思う。

またコース中に、剣ヶ峰(2020m)、上州武尊山(2158m)という2000m以上のピークを擁するのも大きな特徴で、国内のウルトラトレイルではなかなか味わうことのできない「山岳」レースとなっている。UTMBなど険しいヨーロッパのトレイルレースへの出場を考える人であれば、UTMFよりもこちらの方が参考になるのでないだろうか(UTMF出たことないけど

説明と受付(熊鈴やポイズンリムーバー、雨具、ファーストエイドなどのチェックあり)を済ませた後は、大会の手配してくれたバスで宿に向かい、明日に備えた。

……のだがあまり眠ることはできないじゃないか。どうした俺。昨日までバリバリ夜勤で体内時計は夜型なのだ、働いていた一番頭が冴えている時間帯に熟睡するというのは無理があった。
果たして俺は寝たのか、それとも眠れなかったのか、不安を抱きしめながら今年初のトレイルレース当日を迎える。

スタートは突然やってくる

午前5時のスタート前に指ぬきのグローブをなくした。一体どこにやってしまったのだろう。着替えや準備を体育館でしていた時はあったのだが……。今回のコースは滑ったり転んだりすることが避けられないと思っていたので、できるだけグローブを着けていたかったのだが……。

これで手のひら全体がドロドロになることが確定した。

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スタートの前にカウントダウンなどがあるのかと思いきや、突然「パン」という乾いた音がなり、レースが始まった。これは新しいぞ。何か事件が起きたのかと勘違いしかねない。でもこれが上州STYLE。「スタート◯分前」みたいなアナウンスはあったのかな。去年のどえらく壮大すぎたCCCのスタートとはえらい違いだ。周りは騒然「えっ?」ってな感じで。私は腕時計のGPSの設定をしている最中だったので、動揺を隠せないスタートとなった。

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2km程度ロードを走るとトレイルに入る。トレイルのフワフワした柔らかな着地に違和感を覚える。本当に走れるのかな……きついかもしれない。そう思っていたが上の写真のように前半は前後の列が続くのでペースを上げて走るという場面はあまりない。一つ急な登りがあったが、ところどころにロードを交えつつA1(13km地点)に到着。

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最初のエイド、レースは始まったばかりだが充実したエイド

「A1は……過去2年のデータから 所要時間2時間以上の選手はかなり厳しいでしょう、最遅タイム2時間15分で通過しフィニッシュしています」

本大会のサイト内「120kmコースの要点」にこうあったので少しだけタイムを意識していた。時計を見ると2時間ちょっと手前。今年初のレースなので2時間15分でもオッケーと思っていたので「思ってたよりも早いな」という印象。まだ疲れてはいない。手短に水分補給とオレンジを数きれいただき、いよいよ剣ヶ峰へと至るトレイルへ。

ここからがトレイルランの始まりともいえる。引き続き前後が列となっており、所々では仲間同士が話している声が聞こえるほどのどかな雰囲気。だが、ここから600m程度をグイグイと登っていく山岳パートとなる。次第に前後がばらつき始め、視界が開けるとトレイルがぬかるみ、ガスに包まれた眺望に。

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これが……スカイビュー!?

「こりゃ大会名にあるスカイビューって感じじゃないなぁ」とぼやきながら進む。私自身は淡々と進んでいたつもりだが、後ろから抜かされる場面が増える。レース全体を考えれば「まだ始まってもいない」ような序盤だ。自分のペースに身を任せる。

そうこうしているうちに最初のピーク剣ヶ峰に到着する。

面白いほど滑りまくった剣ヶ峰からの下り

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ここからは一気に下っていく区間となる。トレイルランで下りといえばスピードアップの区間、走れる区間といったところだが、ここの下りはみんな慎重に下っていくので渋滞する。

「一体どんな下りなんだろう」と思っていたが、そのポイントに到着するとまぁ滑るすべる。むき出しの木の根と泥と何かが混ざり合ってヌルヌルすってんころり、尻もちツル〜ンの連続なのだ。まぁ要するにボデーバランスが悪いってそれだけなのだが、ここまで連続して滑ったことは初めてだったのでおかしくて笑えてきた。

そんな感じでしばらく滑っていると、ようやく走れる区間になる。
「よし!いくぞ!」と気持ちを切り替えてみたものの、力が入らない。「滑る→起き上がる→滑る」の連続がジワジワと体力を削っていたようだ。なんか疲れていて、しんどい。あらやだ、どうしたものかしら。

気持ちよく駆け抜ける選手を横目に林道に至るまでトボトボ歩く羽目に。
「まだ序盤、まだ序盤」と自分を落ち着かせるため念仏を唱えながら次のエイド(A2)を目指した。

<つづく>

上州武尊山スカイビュー・ウルトラトレイルへ

今年最初にして最後のトレイルレースがやってくる。

上州武尊山スカイビュー・ウルトラトレイルだ。

トレイルレース自体は、昨年12月のTOKYO八峰マウンテントレイル以来だし、長距離となると約1年前のCCC以来となる。

ずいぶん走っていないんだなぁと思う。

それなのに、今回エントリーしているのは、120kmと謳いながら実際は130km近くあるカテゴリーだ。

今までは、目標とするレースに向けて「ホップ・ステップ・ジャンプ」と段階的参加するレースの距離を伸ばしたりして調整してきた。

でも、今回はいきなり助走なしで全力でジャンプしなくてはならない。それも過去最高のジャンプだ。

過去最高のジャンプ、助走なしで……ここまで書いてて「そりゃ無理だわ」と思った。

雨男なのだろう、週末の天気は崩れるという話もある。

 

頑張って頑張って「努力は裏切らない!」っていうエンディングは実に美しい。

ただ、今回はそうはいかない。今の私は奇跡を祈るほかない。

「絶対完走!」を願うから気が重くなるのだ。

練習をしていないのだから、高望みをしてはならない。

冷静になるのだ。

「行けるところまで楽しむ」くらいの軽い気持ちで臨むのがいいのだろう。

なんせ今年初めてなのだ、楽しむ気持ちを忘れてはならない。

さて。

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シューズはスポルティバの「アカシャ」を履くことにした。

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先日丹沢に行った時に履いてみたが、なかなか、いい感じ。

グリップに定評のあるスポルティバのシューズ、少しでも、安全に楽しめるようサポートしてくれることを願っている。

 

鹿児島マラソン 2016

1月の「いぶすき菜の花マラソン」に続き、今月は初開催となる「鹿児島マラソン」に参加した。どちらも鹿児島県内のマラソンでわたしにとっては初めての参加となる。両方でも新鮮な気持ちで同時期に参加できたので、今後どちらにエントリーするか考えている人の判断材料にでもなれば幸いだ。
参考:菜の花マラソンのレポート

こちらが驚くほどの気合の入りよう

鹿児島に到着して驚いたのが、地元の気合の入りようだ。特にテレビ番組では様々な番組で本場前から鹿児島マラソンを取り上げていた。特に驚いたのが当日のテレビ放送を地元の2局が担当するという。東京マラソンでさえ日テレとフジが隔年で放送するが、同じ日に時間を変えて2つの局が中継するとは……。地方では当たり前なのだろうか。東京ではありえない充実した放送体制である。

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空港にて

「なるほどこれは相当盛り上がっているんだろうな」とお祭り気分で前日にゼッケンを受け取りに公園へ行ってみると……人がほとんどいない。

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ゼッケンの受け取りは驚くほどスムーズ(というか人がいない)

真昼の時間帯だというのに。公園のエキスポ(?)にはブースも人気あるが、ランナーはボチボチといったところ。盛り上がっているのか、いないのか心配になりながら当日を迎えた。

 都市型マラソンのトレース版

「菜の花マラソン」がローカル感満載の「おもてなしマラソン」だとすると、こちらは都市型マラソンのトレース版といったところ。前日のエントリー、エキスポ、早すぎるスタートブロックの閉鎖時間(1万人規模で厳密に行う必要があるのか?)、そしてテレビ中継と知ってる人には「あるある」なシステム。だけど地元の人にとってはそれが「新鮮」だったりもする。いろいろな大会に出ている人でタイムを気にしないのであれば「菜の花」の方が「新鮮」かもしれない。

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給水にはありませんでした

1回目なのでこなれていないのは仕方ない。荷物を預ける地下駐車場の入り口への案内不足、周辺のトイレ不足などがそれだ。こういった点は回を重ねるごとにドンドン改善していく。ただ、1回目から致命的な問題はスタートまで見受けられなかった。2時間前に来た私はのんびり、マイペースにいつもの大会のように準備することができたし、不満はなかった。

天気は曇りだがめちゃくちゃ暑いなかスタート

3月の鹿児島は暑い……。天気は曇りで「いい感じ」だったが、この日の予想最高気温は20度。マラソンなんかやってられるかという暑さである。着替えのさいに履いておいたタイツを脱ぎ、ゲイターに切り替えたが、スタート前に早くも邪魔になり、アームカバー共々「厄介なことになったな」と思いながらスタートを迎えた。スタートは開会式でゲストランナーの方々の挨拶が終わった途端、10秒前のカウントダウンが突然始まり、周りの人たちが慌ててGPSのスイッチを入れていた。なかなか斬新なスタートである。

ほぼ海沿いの、想像以上にハードな42km

コースは下の図の通り。

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鹿児島の市街地がスタート地点になっているが、そこを走るのはファンランの区間になっている9km強で、それ以外はほとんど海沿い。お祭り気分のマラソンを楽しむならファンランで充分だ。そこから先は、ひたすらストックな区間となっている。

実は「このコース、風向き次第では走りやすいのかも」と期待していた。
「何かおかしいぞ」と気付いたのは15kmくらいだろうか。そして20kmすぎからは思っていたよりもずっと早く訪れたつかれ具合に「ふ、フザケンナヨこれ」と苦笑いしてしまった。
というのも、このコース高低図が悪い。これを見てほしい。

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0メートルと20メートルの目盛りがめっちゃ細いから、18km〜32kmくらいまで25km前後を除けばほぼ平らに見える。ただ実際走ると全然違う全然平らじゃない。海沿いの平らな、湘南国際マラソンのようなコースを想像していたのだが、「全然違うじゃねーか」とやり場のない怒りが込み上がってきたぞ。

この「平ら」に見える海沿いの区間は

  • 細かいアップダウンの連続
  • アスファルトが粗い
  • バンク(傾斜)がきつい

のだ。アップダウンについては、説明はいらないだろう。アスファルトの荒さは、着地する場所がゴロゴロしているというか不安定というか、接地のさいに疲れそうな感じがするのだ。そしてだめ押しがカーブの傾斜。体が……傾いてしまう。左右綺麗な姿勢が維持されないので、それほど多くないがきつく感じられる。

これらはコース案内では伝わっていない箇所。当然地元の人たちは試走なりして感じ取っていたのかもしれないが、初開催ならではの「あけてびっくり玉手箱」てきなエッセンスを存分に味あわせてもらった。

そんなわけで私自身は30km過ぎくらいから「いつもの失速」が始まると踏んでいたが、25kmの時点で失速が始まっていた。それ以降は「こんなはずはない」「こんなはずはない」と漏らしながら、ヘロヘロ進む展開。

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写真で見るとゆるい傾斜の陸橋だが、これがラスボス。

橋を下って、市役所の脇を抜け路面電車の一本道に出る。そこですぐにゴールなのかと思いきや、ゴールらしきものが見えない。どこだ一体どこなんだと進んでいるとようやくゴールを案内する柱が見えてなんとかゴールした次第。

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これだと遠くからだとわかりづらいのでゲート型だと助かる。

思ってたよりもずっとキツくて笑ってしまった。菜の花ほどじゃないけど、期待していたのとはちょっと違ったね。そしてあと数秒で3時間40分を切れたという微妙すぎるタイムに再び苦笑い。ゴールのあとはメダルやタオル、バナナなどの記念品をいただき、着替えのあとには豚汁とおにぎりまでいただいた。特に豚汁は美味しかった。

私が走っているうちは終始曇っていて、それでも暑いという印象だったが、地下の駐車場から出ると綺麗な青空が見えてきて「これは気温と日差し的にもシャレにならないな」と思った。

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ゴール後、青空と桜島で最高な景色(だが暑い)

初開催なので細かい課題はあるのかもしれないが、全体的には滞りなく運営されていたし、地元の方々のあたたかい応援もあって楽しかった。初大会の東京の時、あるはずのバナナや給食がすっからかんになってた時の衝撃に比べたらどれもなんて事ない。県外からやってくる人にとっては桜島を見ながら走れるというのは、鹿児島ならではの魅力といえよう。これから回を重ねることに運営もランナーもお互いに高めあって行ける大会になるはずだ。

「鹿児島」か「菜の花」か

走る前は「タイムなら鹿児島、おもてなしなら菜の花」と思っていた。上で述べたようにタイムを出せるコースだと思っていたが、実際に走ってみると印象はずいぶん変わった。東京マラソンって走りやすい方なんだなぁと思ったくらいなので、タイムなら鹿児島とはいえなくなった。

そこで改めて考えて直してみると「お祭りなら鹿児島」と思うようになった。地元の人たちの知名度、テレビ放送、賑やかな応援、すべてがお祭りなのだ。マラソンの翌日、翌々日にもテレビで特別番組が放送されたというので、「テレビを見て走りたくなった」と思った地元の人たちも少なくないだろう。本当はキツい運動なのに「なんか楽しそう」な雰囲気にやられて、盛り上がって参加して、ヘロヘロになって……そうやって恒例のお祭りになっていくと、地元の人たちの新たな共有体験の場や、県外の参加者と鹿児島をつなぐ新たな機会になっていくはずだ。

もう少し経って、「こなれた頃」に参加するとずいぶんと印象が変わるかもしれない。そんなことを思った鹿児島マラソンだった。

第35回いぶすき菜の花マラソン大会

16年最初のレースは九州、鹿児島

もうずいぶん日が経ってしまったが、今月10日に開催された「いぶすき菜の花マラソン」に参加してきた。昨年は様々なレースを走ったが、マラソンは2月の東京マラソン以来だ。

トレランだと半分以上歩く私だが、マラソンではゴールまで走り続けなければならない。当たり前のことだが、久しく走り続けていないとこれが精神的に辛く感じられる。おまけにこのマラソン、高低図を見るとアップダウンがハンパないではないか。

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トレランみたいな高低図

「マラソン=タイムアタック」になりがちだが、起伏に富んだコースを前にロクな練習もしていない私はタイムなど望むことができないことは明白だった。

かといってタイムを全く意識せずに走るのも味気ない。いくらタイムが望めないとしても、だ。そこでざっくり4時間は切りたいという最低限のルールだけをもって走ることにした。なので時計で細かくペースやタイムをチェックすることもしない。中間地点のタイムを見れば、展開が見えてくるだろう、そんなスタンスで臨んだ。

絶景をめぐる42キロ

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アップダウンについてはざっくりとイメージを入れて、いざスタート。上の図にある通り10kmまでは我慢だと思っていたが、5km手前のギザギザのような細かい起伏で心が折れる寸前に。そこをなんとかやり過ごし、10kmの長い登り坂を登りきったところから絶景タイムがスタートする。

マラソンで景色を楽しむことは、あまりないのだけれどこのコースは本当にバリエーション豊かで走っていて飽きがこない。大会の名前にある通りの菜の花の黄色い絨毯、その向こう側にそびえる開聞岳、池田湖だけではなく、終盤には海沿いを走る。よくぞここまで自然を盛り込んだなというコースで面白いのだ。

10km以降は下り基調になることもあり、ペースアップを図ったが中間地点のタイムは1時間50分、思ったよりも伸びていない。ここから終盤にかけて失速することも考えると、意外と厳しいと思った。次は30km地点でタイムを確認することに。

この大会は「おもてなし」が評判となっているが、想像を上回る私設エイドの数に驚く。カツオの料理があったりして、ここはゆっくり休むべきなんんじゃないかとコース中何度か悩んだ。写真を撮ったり、食べ物を楽しんだり、ファンランなら最高の大会だな。

スタート前にゲストの瀬古氏が「35kmすぎの心臓破りの坂」について述べていたが、高低図を見て私もここが肝だと思っていた。ここまでバテずに行くことができれば4時間を切れるはず。事前に25km走ったで30kmあたりから失速予定だったが、35kmまではなんとか気力が続いていた。海沿いで見晴らしが良く、遠くに登り坂が見える。小さい「点」が上に向かっているのもわかる。「ああ、あれを登るのね」

その坂はまっすぐ登り切るのかと思いきや、カーブで坂がさらに続くというトラップがあったものの、気持ちを切らすことなく走りきった(ペースは遅かったが)。

思い通りには行かず、残り3キロで大失速

ここを登り切れば坂を下って、平らなロードをゴールまで走っていくだけだ。4時間も切れそうだし、何の心配もない。あとはちょろ〜んといくだけだな、なんて思っていたがそう上手くいかないのがマラソンだった、私はそのことをすっかり忘れていた。

39キロ当たりの何の変哲もない、平らな一本道で急に体が動かなくなった。頑張ってどうにかなるものでもない。「ここで終わってしまったか」と同時に「よくここまで持ちこたえられたな」とも思った。ここからのわずか3キロがひどく長かった。気持ちはあるけど、前へ行けない心と体のバランスが崩れきったままゴール。ネットタイムで3時間46分。あの大失速がなければ45分は切れたのではないか。こう「たられば」を考えてしまうのもマラソンの楽しさなのだ。

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参加料5000円、驚異のおもてなし、対する鹿児島マラソンは??

最近のマラソンは参加料が1万円を超えるものが少なくない中、昔からあるこの大会は5000円と昔ながらの価格をキープしている。それだけでも見事だと思うのだが、参加賞の種類がハンパなくてゴール後に「こんなにもらって大丈夫なのか」と心配になった。

  1. 参加Tシャツ
  2. ゴール後にもらうバスタオル
  3. そば or うどん
  4. おにぎり
  5. おしるこ
  6. さつまいも(蒸してある)

フード類は食券を受付時にもらい、スタート前後好きな時に食べられる。
上記に加えてコース中に用意されている、私設エイドの数々だ。コースはきつい。タイムを望むのは難しいかもしれない。ただ、変化に富んだ美しい風景とエイドの食べ物や応援、そして参加賞とコストのバランスは素晴らしいに尽きる。

そんないぶすき菜の花マラソンのライバルとなりそうなのが、今年3月に初開催となる「鹿児島マラソン」だ。こちらの参加料は1万円と菜の花マラソンの倍。鹿児島市内を走るフラットなコースが特徴。

ハートフルな菜の花マラソンに対し、東京マラソン以降爆発的に増えた「今風」の鹿児島マラソンを鹿児島の人たちはどのように評価するのか、興味は尽きない。

ちなみに私も3月に参加する予定なので、菜の花との比較という点で感想をまとめてみたいと思う。

TOKYO八峰マウンテントレイル 2015

2015年ラストレースは、初開催の都内のレースへ

8月のCCC以来となるレース。そして15年のラストレースは初開催の「TOKYO八峰マウンテントレイル」だ。都内の開催で34km程度のコース、朝は早いが日帰りで楽しむことができる。

この大会は「東京都が策定した「東京都自然公園利用ルール(平成27年3月)」に基づく象徴的な大会として実施し、この大会を通じてルールの啓発を行います」ということがうたわれていることから、ルールを守って楽しく走る大会だと解釈した、最近走っていない自分にはぴったりだ。

スタートは「上級」「中級」「初級」の3ブロックの中から自分に見合ったブロックを選ぶもの。「初級かな」と思ったが、少し強気に「中級」の後方についてスタートした。ちなみにスタートはバスの到着が遅れていたようで、15分遅れとなった。

スタート〜和田峠 ハセツネコースの美味しいところを楽しむ

トレイルランニングでは珍しい白バイの誘導の下レースはスタート。最初の4kmはロードをひたすら登っていく。途中のT字路で気がついた、これハセツネ30Kの登り坂じゃないかと。僕が出た去年の30Kはこの坂を下っていたが、今年は登ったと聞く。これがやはりきつい。ここを走りきらないと大変だなんて話を聞いたが早速歩く。歩いて、走る。これを繰り返し、ようやく渋滞に合流する。

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トンネルの脇からトレイルへ

渋滞の間に顔の汗をぬぐって上着を脱ぐ。水分を補給する。

ここからはハセツネのコースに合流、細かいギザギザのようなアップダウンを繰り返す峰見通りを抜けて市道山分岐を過ぎたら醍醐丸まで一気に進む。この細かい起伏が大嫌いで、ハセツネのコースは醍醐丸でいつも挫折するのだが、途中からコースへ合流するのか思ったよりもサクッと市道山の分岐についてしまう。そしてその頃には上の写真が嘘のように渋滞がなくなり、前も後ろも間が開いて誰にも邪魔されず気持ち良く走ることができた。

初めてトレイルランの大会に出た人はスタートのロードから醍醐丸までのここが一番きつかったんじゃないだろうか。最初にガツンをかましておく、そんなコースだ。

いつもはフラフラで「もう勘弁してくれ〜」となる醍醐丸にはあっさり到着してしまって拍子抜け。時計を見るとまだ11km程度。なるほど楽なはずだ。一番恐れいたゾーンを抜けたことで気を良くして最初の関門和田峠に到着。トイレの列に並び、さっと給水して出発。

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醍醐丸手前の上り。まさか醍醐丸がすぐにあるとはおもわずびっくり。

ここからは……走ろうと思えば走れるが、ハイカーさんにも気を配らなければならないゾーンだ。

和田峠〜小仏城山 マナーを守って快走

陣場山は巻いて、高尾山に向かって走るメジャールートに合流する。ここからは本当に走りやすく、すいすいと進んでいく。序盤の苦しさが嘘のようである。

ただ注意すべきはハイカーさんたちへのケアだ。高尾山方向に進むほど増えてくるので、立ち止まったり減速したりしてケアをする。前に走っていた人が手を上げてハイカーさんがいるので立ち止まるサインを出していたので、私も真似ることにした。

ハイカーさんのグループからは「頑張って」とたくさん声をかけていただいた。ロード区間でなくトレイルで応援を受けるのは嬉しい。

ピークを踏まず巻いていくので常に程よいスピードをキープしたまま小仏城山に到着。

ここはお水の他にお湯もあり、レモネードの粉末を溶かしてもらった。ジェルを一つ食べてさっと出発。

小仏城山〜ゴール 未知のコースは走らされるノコギリゾーン

ここからは初めて走るコースで、楽しみにしていた箇所。トレーニングでも使えるんじゃないかなと思っていたのだ。一度城山の頂上に戻るような形をとってから、一気に大垂水峠へ下っていく。一度歩道橋を渡ってトレイルへ。そこからが終盤のキモなのかな。

細かい登りと下りを繰り返すんだけど、意外と合間に走れるところがあって気が休まらない。ああこれは走れるんじゃなくて「走らされているんだな」ということに気がつく。

途中にある最終関門では饅頭(?)を一ついただき、出発。少し雨が気になってきたのでジャケットを羽織る(雨はまたすぐ弱くなったんだけど)。

下り基調のコースであることに変わりはないんだけど、アップダウンのせいでそれほど下っているという実感はない。休めないから足は動き続けていて、困ったものだなぁと思いながら進む。

「間も無く閉会式を始めます」
という声が下の方から聞こえる。ゴールが近い。ラスト1kmあたりから急に抜かされることが多くなり、気がつくと前も後ろも人が見えない。

線路脇の長いストレートに下りて、ゴールまで単独走となった。GPSは35.5kmでタイムは5時間30分台。

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ゴールは京王高尾山口駅側の公園で、最近できた駅の温泉のクーポンもついていた。ゴール後早速温泉を満喫。

距離的に初めてトレイルランニングの大会に出たという人も多かったのかもしれない。今回のコースは大会以外でも気軽に利用出来るコースだし、今度は単独で走ってみようかななんて思った。久しぶりのレースでよかったなと思ったのは、「怠けない」ということ。一人だとどうしても歩いてしまうような場所も、レースだと走れる。周りの人たちに引っ張られる形で。意思の弱い自分にとっては結果としてこれがいいトレーニングになるんだなと思った次第。

15年は9つのレースに出た。マラソンが2つ、ウルトラが3つ、トレイルが4つ。

来年は数を絞り込むが、こうして楽しめるといいなぁと願っている。

晩秋の丹沢へ

11月も終わろうという頃、久しぶりに山へ足を運ぶことができた。

場所は丹沢。渋沢駅から大倉へ向かうバスは朝からいっぱいだ。

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大倉のバス停からまずは鍋割山へ向かう。鍋割山から大倉へ下ったことはあったが、登るのは初めて。林道区間は気持ち良くジョグしていたが、本格的な登りが始まってからはあまりにキツく、早速心が折れてしまった

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ほとんど眠らずに見る朝日は異様に眩しい。キラキラ光っているのは海だ。

サングラスを持ってくるべきだったな……と眩しい光にクラクラしていると、やっとの事で頂上へ到着。鍋割山といえば「鍋焼きうどん」が有名だけど、この日はスルー。残念な時間帯の訪問となってしまった。

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来年またうどんを食べに来よう!

鍋割山から塔ノ岳までは細かなアップダウンを繰り返しながら進んで行く。ハイカーも少なく、下り基調では心おきなく走ることができた、と言ってもジョグ程度のまったりとしたペースなのだが。

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塔ノ岳から向かうは丹沢山。太陽が昇ってっくると霜が溶けてトレイルがぬかるんでくる。この日はHOKAのSpeedgoatを履いていたので、スリップすることはなかったが、霜の溶けた冬のトレイルが苦手という人もなかにはいるかもしれない。

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ここで一旦休憩、丹沢山の山小屋でカルピスウォーターを飲む。うまい。トレランのときはコーラが鉄板だけど、カルピスもいいじゃないか。カルピスをエイドで提供してくれるレースってあるのかな。

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これまでいくつか写真をアップしてきたけど、この日は本当に空が綺麗で、海も富士山も澄んだ空気の中で際立って見えるものだから本当に気持ちが良かった。

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丹沢山から塔ノ岳に戻るとお昼手前くらいで富士山に向かって腰掛けて食事をしている人がいっぱい。気持ちいいだろうなぁ。私もコンビニで菓子パンをお昼用に用意していたのだが、朝から空腹で行きの電車で食べてしまうという失態をしてしまったのだ。仕方なく富士山を見ながらジェルをいただく……高揚感はない。こういうところでお湯を沸かしてカップラーメンを食べている人たちが実に羨ましい。地上で食べればただのカップ麺もここではご馳走になる。

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夜勤明けで寝ずに丹沢に来たのでさすがにお昼になると眠くなってきた。意識が覚醒しているうちに下山を決意。帰りは大倉尾根を下っていく。まだ少しだけ、紅葉が残っていた。

25kmくらいの短いトレランだったが、久しぶりの山はとても気持ちが良かった。年を重ねるごとに自然が好きになっているのを実感する。これが老いなのだろうか。

次、丹沢に行くのはいつだろうか、来年だろうな。

そうだ。今日から12月。あっという間に年末である。。

ハセツネ(の応援)に行ってきた

日本山岳耐久レース(24時間以内)長谷川恒男カップ、いわゆる「ハセツネ」と呼ばれている大会がある。国内トレイルレースの先駆け的な大会だ。

昨年は私初参加し、見事に玉砕(こちらをどうぞ)。
私にとっては「あの遅刻さえなければ……」など悔いばかりが残り、黒歴史的な位置づけで絶対にリベンジしなければいけない大会と心に決めている。その「ハセツネ」だが、今年は訳あって不参加となった。

せっかくの休日だが、ゆっくりすればいいものをハセツネが近づにつれて胸がドキドキしてきてしまい、当日気がついたら15km地点の醍醐丸にいた。

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醍醐丸まで急ぐ。和田峠からいけば手っ取り早かったんじゃないかと気づいたのは市道山の分岐手前だった。

トップ選手が到着するまでに醍醐丸につかなくては……と思っていたのだが、あろうことかレースのスタート前に到着してしまった。このまま浅間峠まで行っても間に合ったような気がしたが、ここから先に進む力は残っていなかった(おいおい)

まずは汗だくの服を着替える。シャツもキャプリーン4も着る。化繊のインサレーションも重ね着し、最後にウィンドシェルを羽織る。

寒い。

おかしい、着替えが全然効かない。

寒くて震えるくらいに寒い。

体を動かしている時は汗が止まらず日程の後ろ倒しの影響を感じなかったが、動きを止めた途端これだ。もう着替えは持っていない。仕方なく小刻みに震えながらおにぎりを食べる。ダウンを持ってくるべきだったと後悔。

トップ選手がやってくるのは、スタートから1時間半を過ぎた14時半。果たして私はそこまで持ちこたえることができるのか。携帯の電波もロクに繋がらない。本も持ってきていない。そして何よりも寒い。こうしてもうひとつの耐久レースが始まった。

一人ではとてもじゃないが耐えれる状況ではなかった。正直トレーニングをしたということですぐに下山しようと思った。そんな中、幸いなことにスタッフの方達や私のように応援に来ていた方たちと雑談をしたり、無線から入ってくる途中経過の様子を聞いて寒さを意識から切り離すことで持ちこたえることができた。本当にありがたかった。

私が来たときはほぼゼロだった応援の人も14時を過ぎた頃にはだいぶ集まり、賑やかになってきた。寒いもん、このくらいの到着が正解だったな。

市道山分岐にいたスタッフから選手通過の無線が届いたところから緊張感が走る。

14時半、予定の時刻。まだ来ない。坂の下を覗きこむ。選手は見えない。

それからどれくらい待っただろうか。
「来たぞー!」という声が遠くから聞こえた。覗きこむと確かに人が近づいているのが見える。

そしていよいよはっきりと選手たちを捉えることができた。

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ん??????

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多いぞ。まだ15kmトップ選手たちは様子見といったところなのか。3人くらいのグループでやってくるのものだと思っていたが、5人以上の集団。これでは上位選手のゼッケンを記録し、選手と特定するのは大変だ。

醍醐丸に到着すると選手たちが一斉に駆け抜けていく。そして山の中とは思えない賑やかな歓声に包まれる。

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先頭集団は笑顔や手を振って答えるくらい余裕たっぷりだった。

私も声を出し、手を叩き、家から持ってきた鐘を鳴らす。するとさっきまでガクガク震えてきた体が温まってきた。

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トップの下りは速い。ボトムズの私はレースで見る機会がないので貴重だった。

トップ集団通過後も次々と絶えることなく選手たちがやってくる。みんな顔が生き生きしている。さっきまでの体調不良が嘘のように元気になっていく。ハイタッチを通じて選手たちから元気をもらったようだ。

男子のトップが通過してしばらく経って女子トップが到着。

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女子は集団ではなくて、すでに差が開いているようだった。

「男子のトップ集団、女子のトップ3を見たらそろそろ帰ってもいいかな」と思っていた。寒いし、日没時間も気がかりだった。暗く前に安全に帰りたかった。

だが次々とやってくる選手を見ると「もう少し見てみたい」という気持ちが出てきた。だってみんないい顔してるんだよ。多分ここまで細かいアップダウンが多いし、結構きつい区間だと思うが、本当にいい顔してるんだ。応援したくなる顔なんだよ。多分走ってる選手はそんな自分の顔つきとかわからないと思うけど、自分が思っている以上に生き生きしているよ。

どれくらいの選手が通過しただろうか。気がつけば2時間半が経過。16時半。さすがにこれ以上いると暗くなりそうだと判断し残念だったが応援を終えることにした。

和田峠のスタッフの方々には本当にお世話になりました。ボランティアの活動はここの作業を終えた後も最後の撤収まで続くという。選手以上に長丁場の仕事だ。頭が下がります。

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醍醐丸を離れると少しずつ応援の声援が遠くなり、完全な静寂に包まれる。
こっちが現実の世界だ。

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和田峠へ抜けるルートではなく和田バス停への道を初めて通ってみた。緩やかで走りやすいシングルトラックが続いて気持ちよかった。

今度は選手としてハセツネに。去年のリベンジしなきゃって思いがフツフツと湧き上がってきた10月の終わりだった。

トレイルランナー・山本健一 書籍出版&レース入賞記念トークライブ・サイン会

湘南T-SITEで開催された山本健一さんの「書籍出版&レース入賞記念トークライブ・サイン会」へ行ってきた。先日出版された書籍「トレイルランナー ヤマケンは笑う」はすでに読んでいたが、今回はちょうどUTMBと同時期に同じフランスで開催された「レシャップベル」(144km、累積標高1万900m)で2位になった話が中心のようだったので興味津々だった。

(書籍は絶賛発売中なので読んでみてください、爽快感全開の1冊です)

トークは今回レシャップベルに同行したフォトグラファーの廣田勇介さんとの対談形式で振り返る内容。スライドには廣田さんが撮影した写真が映し出されて、それに沿って振り返る。参加者はきになるところで勝手に挙手して質問するスタイル。

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めっちゃ綺麗なブルー、こんなところを走るなんて。

参加者が関心を持っていた一つがヤマケンさんの「食」について。上の著書に書いてあるのだが、ヤマケンさんは酒、カフェインは一切取らなくなった。できれば白砂糖も取りたくないそうなのだが、これは色々な料理に含まれているので完璧には無理だそうだ。元々お酒は大好きだそうだが、最初の2つは絶っているという。アルコールやカフェインはそれ自体が感情を支配する作用がある。ヤマケンさんが掲げて取り組んでいる「野生の走り」を「自分の思いままにコントロールする」という取り組みには、「何かに支配される」ということは大きな障害になる……確かそんなことを話していた。ただこれが本当に正解なのかはわからない、手探りで「実験している」との事だった。

100km走って野生モードに

この「野生の走り」はこのレシャップベルの話でも再び出てくる。最初は「ノルウェーの大会」だと聞いて参加することを決めたそうだが、実はフランスだったというレシャップベル。100マイルならまだしも、144kmで累積標高が1万メートルを超えるというコースは最もキツく、そしてこれまで走った中で一番美しい風景だったと話していた。

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いつもはエイドで待ってくれているサポートクルー(チームヤマケン)と話をするのが楽しみでエイドに入るというが、今回はあまりの辛さに上の写真のようにエイドで倒れこんでしまったという。本のタイトルにある、彼のスタイルでもある「ヤマケンは笑う」とはいかなかったわけだ。非常に厳しい状況でレース中に何度も眠ったという。

そして100kmを過ぎてようやく「野生の走り」がやってきたという。野生の走りは、レース中に一度しかやってこない。またコースをロストしたり、ちょっとしたきっかけで終わってしまうという。確変とでもいうか、アスリートのいう「ゾーンに入る」というニュアンスに近いのか、無敵状態になるのだろう。対談相手の廣田さん曰く、野生モードに入ってからはエイドに戻ってくると声や肌ツヤが違ったとか。このスーパーな状態をできるだけ長く、自分の出したい時に発揮するために取り組んでいるのが「実験」だという。

いやぁ、この話が面白いのだ。「もうダメだ」というところから、驚異的な復活を遂げてゴールまで突っ走っていく。まるでスーパーヒーローのようじゃないか。ウルトラトレイルのアスリートの状態は科学的にどれほど研究されているのかわからないが、まだまだ人間の未知の領域、もしくは遠い昔に人間が忘れてしまった何かがそこにはあるような気がした。

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来年発売予定のヤマケンモデルのザック。ザイゴスをベースにストックの収納など山本さんの要望・意見が反映されて改良されているっぽい

海外の大会はいつも誰かが勧めてくれた大会を「それよさそうだね」と決めているそう。自分からは選ばないそうだ。来年の予定はまだ決まっていないとのこと。「また誰かが勧めてくれたやつに出ます」みたいなことを話してくれた。

あまりに話が膨らんで、レシャップベルの話はかなりハイペースで話して終わってしまったが、あっという間の時間で自分含めて参加者の人たちは充実した時間を過ごせたのではないだろうか。山本さんは世界のトップレベルで上位に入るトレイルランナーだが、普段は山梨県の高校教師だ。なかなか関東に住む私が話を聞く機会もなく、こうして書籍の出版を通じて機会を得ることができたのは大変嬉しかった。

「Harder and more Beautiful」 L’ECHAPPEEBELLE:華麗なる脱出 from RIGHTUP Inc. on Vimeo.

今回の山本さんのレシャップベルの映像が上のリンク先にあります。美しく、厳しいレース、支える仲間たちの30分強のドラマ。これ無料で公開していいのでしょうか。必見です。

パーゴワークスのファストパッキング用パック「RUSH 28 」

先のエントリーで赤岳に行ったことを書いたが、その時に活用したのがパーゴワークスの「RUSH 28」というファストパッキング用のザックだ。

正直ファストパッキングはやったことがなくて、今回は行き帰りの着替えや防寒具などを持ち運ぶ必要があった。トレランのザックでは足りない。基本は歩きだけど、下りは走りたいので揺れるのは嫌だ。そこでしかるべきサイズのものが必要となった。その結果、幾つかの候補の中からRUSHを選んだ。あくまでハイクとして使ってみただけなので、ファストパッキングとして検討している人にとっては参考にならないエントリーだ。

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大きくなっても変わらない「RUSHらしさ」

以前『パーゴワークスのトレランパック「RUSH7」』というエントリーを書いているように、RUSH7についてはレースやトレイランで使っている。RUSH7やその後発売されたRUSH14を使っている方にとっては、このモデルにも「RUSHらしさ」が継承されているのでサイズが大きくなっても安心できる、信頼できるのが一番大きいのではないだろうか。要するに上の写真にある胸の伸縮性の高い生地で作られたボトル収納やジェルなどを収納できるスペースのことである。これを背負って前だけ見たら「RUSH7」を背負っているようにも……見えなくはない……はずだ。

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こんな感じでペットボトル以外もニョキっと入る。

だからRUSHを使っている人は問題なし、スムーズに導入することができるでしょう!と完結にまとめてもいいのですが、せっかくなので少しだけ書いてみようと思う。

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一番上のポケットはメッシュに。パッと中身が把握できる便利さもある一方で、天気の悪い時は簡単に濡れてしまうので入れるものを選びそう。そこはお天道様と要相談。

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一番気になったのがこのザックの特徴でもあるトップスタビライザーとメインアクセスの関係。トップスタビライザーを引っ張って、体に寄せることによる安定感がこのザックの魅力だと思うのだけど、荷物を出し入れする際には一度スタイビライザーを緩めなくてはいけない。慣れてしまえばなんてことのないのだが、最初は戸惑ってしまった。

「走る」選択肢を持つ人の望みに応える一品

とはいえ、スタビライザーを使った時のフィット感、そして「センターコンプレッション」の組み合わせがこのザックの快適性を顕著なものとしているのも事実。これが、いいのだ。

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センターコンプレッションをMAXまでやってみるとここまで縮む

センターコンプレッションで余計な空間が縮まり、ザックの密度が増す。これとスタビライザーを組み合わせてみるとグッと荷物が背中側に乗ったような感覚になる。そう、トレランのザックを背負った時のような、あの位置感だ。

そうすると、走りたくなるのだ。特に私のようにファストパッキングではなく日帰りハイクであればなおさらだ。28リットルのザックを背負っているような気がしない。胸元はRUSH7と同じなのだ。あとは気持ち良くトレイルを駆けおりるだけなのだ。

ハイクをするだけだったら他のザックでもいいだろう。ただ、そこに「走る」という行為を選択しとして持つのであれば、損はしない一品であるように感じられた。これに泊まり関係のギアを積んでみるとまた違うのかもしれない。あくまでハイクの範囲でのインプレッションは以上だ。

OMMで使う人もいるのかな。終わったら感想をネットで見つけてみたい。

RUSH28については、スペシャルサイトに細かく機能が紹介されているのでそちらをどうぞ。

THE NORTH FACE Athlete Talk Session UTMF Special w/Seb&Robb

何を今更といった話になるが、9月には「ウルトラトレイル・マウントフジ(UTMF)」があった。
国内最大のトレイルランニングレース。国内では貴重な100マイルレースの一つだ。

私は抽選の結果、落選という大変残念な状況で、UTMFとは無縁な9月を過ごすつもりでいた(当選したとしてもCCCの燃え尽きが大きく心と体の準備が全くできていなかったはず。それに悪天候で半分も走れなかっただろう)。ところがUTMF開催に伴う関連イベントに参加することでUTMFウィークを楽しむことができた。

それがノースフェイス原宿店で開催された「THE NORTH FACE Athlete Talk Session UTMF Special w/Seb&Robb」だ。ノースフェイス契約のアーティスト、セバスチャン・セニョー選手(フランス)とロブ・クラー選手(米国)がUTMFに伴って来日、それを記念してのトークセッションとなった。

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セブ(左)とロブ。時間はあっという間に過ぎていった。

セブは今回はSTYに参加(見事優勝している)、そしてロブは残念ながら怪我でDNF、出場する奥さんのサポートに回るという。

セブからは怪我からのリカバリーに関する話、そしてロブからは2連覇を果たしたウエスタン・ステイツの話が中心にトークが繰り広げられた。トップ選手の話だがテクニカルな話はそこそこでほとんどはマインドに関わる話で、聞いているだけで沸々とモチベーションが上がってくる気がした。(大事なのは行動することなのだが、体はまだ充電を欲している)

実は最も驚いたのは質疑応答で、参加者からの質問のほとんどが英語なのだ。参加者はできる奴ばかりではないか。
「英語がわからない人もいるんだよ、まじ勘弁してくれよ」「英語の話せない人は質問しちゃいけないムード漂ってない?」などと疎外感を味わう一時だった。シャモニーならまだしも原宿でも言語の壁に阻まれるとは。

こうしたトップ選手たちがわざわざ日本までやってきて、こうしたトークイベントに参加することができるのもUTMFがあるからだ。参加しない私も恩恵を授かることができた。セブとロブと写真まで撮ってしまった。二人ともナイスガイじゃないか。ありがとうUTMF。そして私も出たいぞUTMF。

UTMBのような大会を目指す必要はないと思うが、国外への発信力を持つ100マイルレースは日本にあるべきだと思うし、UTMFはそうでなければならない。今後もこうしたイベントの開催を続けていってください。シルバーウィークは仕事オンリーだったが、おかげで素敵なリフレッシュタイムとなった。

【参考書籍】

毎年様々な課題が出るUTMFだが、それを一つ一つ乗り越えていい大会になっていってほしいとこれを読むと素直に思える。そして「俺もUTMFに出てみたい!」と思うようになるもんだから厄介だ。そこんとこ要注意だぞ。